2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン類化合物のX線増感作用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22591395
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 淳子 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (80415702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 雅樹 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (60358083)
岩橋 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60356540)
|
Keywords | X線増感剤 / 光線力学療法 / マイクロアレイ / 担がんマウス |
Research Abstract |
本研究では、深部の腫瘍の選択的な治療を可能とする、X線励起による新しい物理化学療法の可能性を明らかにするため、既に光線力学療法に利用されているポルフィリン類化合物を、X線増感剤として利用する、新規の深部低被曝悪性腫瘍の治療方法の確立を目指した基礎的研究を行う。 これまでに、濃度(数μg/ml)のプロトポルフィリンに数グレイのX線照射処理を行うと、光照射とは異なる活性酸素種が発生することを見いだした。この試験条件は、光線力学療法より低い濃度の投与条件であり、X線療法における単回照射より低被曝な照射条件である。また、培養細胞のコロニー形成能評価により細胞増殖能の阻害が促進され、さらに、マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析によりリボソーム構成タンパク質の遺伝子群の発現が特異的に抑制されることから、ポルフィリン類化合物のX線増感作用が確認された。本年度はC57BL/6JマウスにB16黒色腫由来細胞株を投与することにより担がん実験動物を作成して、増感剤投与後にX線照射を行い、組織の遺伝子発現の解析を行った。 ポルフィリン誘導体は腫瘍細胞親和性を有し光線力学的治療において既に臨床応用されている。しかし光線力学療法は光の到達しない深部の腫瘍への適用は困難である。しかし、ポルフィリン類化合物をX線増感剤としたX線治療方法確立が出来れば、臨床へ適用できる可能性は高く、これまでのX線療法より患者に負担の少ない低被曝な治療法が可能となる。また、ポルフィリン類化合物等の軽元素有機化合物に対するX線エネルギー伝達機構は、それ自体が新規で学術的に興味深い。
|