2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性期の障害肝細胞における肝細胞死・再生の指標となる血漿メチオニン値に関する研究
Project/Area Number |
22591397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 和重 東北大学, 病院, 助教 (40375043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里見 進 東北大学, 病院, 教授 (00154120)
武田 郁央 東北大学, 病院, 助教 (90420033)
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Keywords | メチオニン / 急性肝不全 / 細胞死 / 肝再生 |
Research Abstract |
予備実験ではアセトアミノフェン(APAP,4-hydroxyacetanilide)を、1.0、1.5、2.0g/bodyをラット(雄性Wisterラット、7週齢、体重240-260g)に腹腔内投与する系および、1.0、2.0、3.0gを経口投与する系で肝不全による死亡率、病理組織像、血清メチオニン値について検討した。 予備実験結果 1.死亡率・病理組織像:APAP1.0g単回経口投与群では死亡率は5%未満であった。病理組織像では軽度の肝細胞障害あるいは正常な状態を認めるのみであり、時間経過とともに自然回復し正常化していた。2.0g経口投与群では、投与後12時間の生存率は50%、24時間の生存率は33%であった。組織像では門脈周囲の広範囲な出血・壊死を伴う肝細胞脱落を認めた。24時間以降生存したラットを剖検してみると壊死像は軽度であり再生の所見を認めた。また、低用量APAPの複数回投与についても検討したが、単回投与と同様に、容量が少ないと24時間以内に肝組織の障害が自然に回復し正常肝に戻ってしまうため本実験の検証には適切ではないと考えられた。腹腔内投与では経口投与群と同様に過量のAPAPを投与した場合、肝不全に至る前に急性毒性による呼吸不全に至り死亡した。以上より、ACAP(2.0g/body)の経口単回投与が本実験では肝不全死を検証するために適切と考えられた。 2.血清メチオニン値:ACAP(2.0g/body)の経口単回投与後、肝不全死群では557±89μmol/l、生存群では117±23μmol/lであり、肝不全死群で優位に高値を示した。 肝不全状態からの肝細胞の再生あるいは細胞死の指標として血清メチオニン値が肝細胞の状態を反映している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)