2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈疾患における歯周病の関与と血小板凝集の影響について
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22591399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70280964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 誠 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90193937)
菅野 範英 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60332631)
地引 政利 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (50422481)
工藤 敏文 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (50431911)
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Keywords | 動脈疾患 / 歯周病 / 閉塞性動脈硬化症 / P.gingivalis / 全血血小板凝集能 / 歯周病菌Ig抗体価 |
Research Abstract |
末梢動脈疾患(peripheral artery disease:PAD)は、末梢動脈の粥状硬化巣による狭窄、および破綻の結果形成される閉塞血栓により引き起こされる疾患である。PADに対する粛周病菌の関与は従来から報告されており、動脈壁からrDNAが検出されるとともに、最近では動脈硬化性プラークから歯周病菌が検出されている。当科では歯周病の主要な原因菌の一つであるPorphyromonas gingivalis (P.gingivalis)は多血小板血漿(PRP)においてヒト血小板の凝集能を有することを報告しており、PADの病因に一定の役割を担っていることが推測される。今回われわれは、PAD患者群30例と健常対照群20例においてP.gingivalisによる全血での血小板凝集反応およびIgG抗体価を測定した。P.gingivalisを加えてから12分間の電気的インピーダンス値の変化は、PAD群で10.2±4.8(5.1-14.3)ohm、コントロール群で6.1±5.6(0.2-10.8)ohmであった。PAD群ではコントロール群と比較して、P.gingivalisにより有意に高い全血血小板凝集反応を示した。PAD患者の中で歯牙を有する18名について、全血血小板凝集反応とIgG抗体価の相関に関して検討したところ、相関係数は0.7で正の強い相関を認めた。以上の検討により、P.gingivalisによる血小板凝集反応がPAD患者で有意に高く、さらには歯周病の程度がより高度である程、血小板凝集能が亢進していることが示唆された。
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