2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈疾患における歯周病の関与と血小板凝集の影響について
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22591399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70280964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 誠 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90193937)
地引 政利 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (50422481)
工藤 敏文 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (50431911)
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Keywords | 動脈疾患 / 歯周病 / 閉塞性動脈硬化症 / P.gingivalis / 全血血小板凝集能 / 歯周病菌Ig抗体価 |
Research Abstract |
末梢動脈疾患(peripheral artery disease : PAD)は、末梢動脈の粥状硬化巣による狭窄、および破綻の結果形成される閉塞血栓により引き起こされる疾患である。PADに対する歯周病菌の関与は従来から報告されており、動脈壁からrDNAが検出されるとともに、最近では動脈硬化性プラークから歯周病菌が検出されている。当科では歯周病の主要な原因菌の一つであるPorphyromonas gingivalis(P.gingivalis)は多血小板血漿(PRP)においてヒト血小板の凝集能を有することを報告しており、PADの病因に一定の役割を担っていることが推測される。今回われわれは、PAD患者群34例と健常対照群20例においてP.gingivalisによる全血での血小板凝集反応およびIgG抗体価を測定した。P.gingivalisを加えてから12分間の電気的インピーダンス値の変化は、PAD群で10.2±4.8(5.1-14.3)ohm、コントロール群で6.1±5.6(0.2-10.8)ohmであった。PAD群ではコントロール群と比較して、P.gingivalisにより有意に高い全血血小板凝集反応を示した。PAD患者の中で歯牙を有する18名について、全血血小板凝集反応とIgG抗体価の相関に関して検討したところ、相関係数は0.7で正の強い相関を認めた。Pg菌と血小板凝集に際して、血小板上のFcrRIIaにPg菌のHgp44がPg菌IgG抗体を介して結合し、血小板凝集を惹起すると言われており、FcrRIIaをブロックする抗体を投与することによりPg菌による血小板凝集の抑制効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAD患者と健常対照における血小板凝集能を評価するとともに、血小板上FcrRIIaをブロックする抗体の投与による影響を検討しており、残りの期間でデータ数を揃えて統計学的検討をする。また介入試験を今年度に開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
PAD患者および健常対照における血小板上FcrRIIaをブロックする抗体の投与による影響を各々20例前後で測定し、Pg菌IgG抗体価の血小板凝集に及ぼす影響や機序を解明するとともに、歯周病治療前後での血小板凝集能の変化やレーザードプラ法による微小循環の改善状況を評価する。
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