2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗体関連型拒絶反応における凝固系制御の重要性:新しい検査法および治療法の開発
Project/Area Number |
22591403
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三輪 祐子 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (90572941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝彰 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70314010)
羽根田 正隆 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (50436995)
岩崎 研太 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (10508881)
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Keywords | 移植・再生医療 / 拒絶反応 / 凝固系 / 抗原、抗体、補体 |
Research Abstract |
【研究目的】 移植ドナー不足解消への取り組みとして、抗ドナー抗体陽性移植(ABO 血液型不適合移植、クロスマッチ(HLA抗体)陽性移植)が取り組まれているが、現在これらの移植前の検査法としては抗体価測定のみである。移植医療の質を高めるため、抗原抗体反応後の補体、炎症反応、凝固系の亢進を指標にした新しい検査法の開発【1】、また凝固系制御の観点から抗体関連型拒絶反応の治療法の探索【2】が本研究の目的である。 【今年度進捗状況】 【1】拒絶反応を推測する有効なin vitroアッセイの開発 移植グラフト血管内皮細胞におけるA,B抗原発現量の推定 Flow cytometry法を用い、血小板のA,B抗原レベルの定量解析を行い、個人差の判定、およびグラフト血管内皮細胞との関連を評価する。→今年度は、50人のドナー患者血小板を使用し、A,B抗原の発現レベルを解析し個人差が高いことがわかった。また高発現血小板も採取し、来年度はドナー内皮細胞と血小板のA,B抗原発現の関連性を解析する。 レシピエント血清中の抗体価と補体活性能 今年度は、レシピエント患者25名の血清中における抗体価特にIgGサブクラス解析と、補体活性マーカーClqの解析を進めた。来年度は、抗体関連型拒絶反応(AMR)を起こしたレシピエント患者血清を用いIgGサブクラスのパターン解析、Clq沈着の解析を進める。 【2】移植後の凝固制御による拒絶反応の抑制、治療 今年度、ヒトのトロンボモジュリンを発現するブタ(hTM-Tg pig)の詳細な解析を行い論文発表した。来年度は、DICの治療で臨床使用可能な我が国で開発された可溶性トロンボモジュリン(リコモジュリン)が、移植医療において移植時の虚血再灌流時に産生が予想されるトロンビンの制御に使用できないか、in vitro in vivoモデルで確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、移植前検査法の開発を行い、実際の患者検体の測定を行って、臨床結果と照らしあわせ、この検査法の有用性を評価することであるが、今年度実際の患者検体を用い測定することができた。次年度は、その結果と臨床結果と照らしあわせ解析を進めること。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】拒絶反応を推測する有効なin vitroアッセイの開発移植前検査としての有用性が、急性拒絶反応を起こした群(AMR群)と、拒絶反応を起こしていない群(non-AMR群)とをレトロスペクティブに比較し、その有意な差が認められたら、より簡便な検査として用いられるようにプロトコール化すること。 【2】移植後の凝固制御による拒絶反応の抑制、治療 可溶性トロンボモジュリンと膜型のトロンボモジュリンの特徴の違いを詳細に比較検討し、可溶性トロンボモジュリンを移植時でのどのような病態で投与するのが一番適しているのか、in vitro in vivoモデルで確認する。
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Research Products
(6 results)