2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌に対するHDAC阻害剤を用いた治療の開発に向けた基礎・臨床研究
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22591425
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井口 雅史 金沢大学, 附属病院, 助教 (90401918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 哲生 金沢大学, 医学系, 教授 (40194170)
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Keywords | 乳腺外科学 / エピジェネティックス |
Research Abstract |
1)基礎研究による乳癌細胞抑制効果と作用機序の検討(担当:井口、馬渡(大学院生)) 昨年度までの、乳癌細胞株(MCF-7,SKBR-3,MDA-MB-231,BT474)を用いた実験にて、バルプロ酸ナトリウム(VPA)は乳癌細胞に対し、抗てんかん薬としての常用量で達する血中濃度と同等の濃度において、細胞増殖抑制効果があることを確認した。 平成23年度は、VPAの乳癌細胞(SKBR-3,BT474)に対する分化誘導・アポトーシス誘導の確認を行った。 VPAはSKBR3に対しp21WAF-1蛋白の誘導を示すことをウエスタンブロットにて確認した。同様に、VPAはBT474に対してもp21WAF-1蛋白、p27蛋白の誘導を示した。 一方、VPAはSKBR3,BT474に対しCleaved caspase3蛋白の誘導を示すことをウエスタンブロットにて確認した。また、免疫染色でも、VPAはSKBR3に対し、Cleaved caspase3の発現増加を示した。Tunnel染色でも同様であった。 このことからVPAが乳癌細胞に対し、増殖抑制効果を示す機序に一つとして細胞の分化誘導、アポトーシス誘導が関連している可能性が示唆された。 2)臨床試験による乳癌治療におけるVPA安全性と有効性の検討(担当:太田、井口) 平成23年度は、登録症例数を増やすために「転移・再発乳癌に対するパクリタキセル+valproic acidの臨床試験」に加えて「転移・再発乳癌に対するアルブミン結合パクリタキセル+valproic acidの臨床試験」を計画し、実行した。さらに症例集積を継続した。登録症例においてvalproic acidの併用によってタキサン系抗がん剤による末梢神経障害を抑制し、強い抗腫瘍効果を認めた症例を数例に経験した。現在のところ、大きな副作用は出現しておらず、臨床応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前半の2年間に関しては、基礎的な検討と臨床的な検討がおおむね同時進行できたと評価する。しかし、基礎実験の結果に関しては学会発表や論文作成までには進めなかった。臨床試験の登録はやや遅れ気味ではあるが新しい試験の追加も行い、症例数の蓄積に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度からは後半の2年間に入るため、研究の総括的な発表や論文化を順次遂行する必要がある。基礎的検討についてはこれまでの結果についての研究発表や論文化を行っていきたい。時間が許せばさらなる検討を進めて行く予定である。臨床研究に関しては来年度までは症例登録を行い、その後に解析と研究成果の発表、論文化を進めて行く予定である。
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