2011 Fiscal Year Annual Research Report
FES-PETによる乳癌における内分泌療法の適応決定に関する研究
Project/Area Number |
22591426
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
前田 浩幸 福井大学, 医学部, 助教 (20301202)
|
Keywords | 乳癌 / エストロゲン受容体 / PET / 内分泌療法 / 効果予測 |
Research Abstract |
(1)エストロゲン受容体(以下ERと略す)のN末端とC末端の抗体を用いて検出されるERの構造異常とFESの集積程度(SUV値)が相関するか、3腫瘍において検討したが、免疫染色で検出されるERの構造異常と、FESの集積程度は相関することを確認した。 (2)免疫染色によるホルモン受容体発現とFES集積を9病変で検討した。結果1.ER陽性かつプロゲステロン受容体(以下PgRと略す)陽性の群では腫瘍内の線維・骨成分の多い病変では、構造異常のないERが存在しても、FES-SUV値は低値となり、解離することを認めたため、FES-SUV値の補正が必要であった。結果2.ER陽性かつPgR陰性の群では、ERの構造異常をもつ乳癌腫瘍が含まれ、その鑑別にFES-PET検査がとくに有用と思われた。結果3.ERとPgRの両者が陰性の群では、FES-PETは無効であった。 (3)FES集積程度と内分泌治療効果を大きさ2cm以上の18病変で検討した。既存の報告例に従い、FES-SUV値のcut off値を2.0とした。ただし、骨転移病巣では腫瘍内に海綿骨組織が多く含まれ、癌細胞の割合が少なくなるため、SUV値を補正し、骨転移のみ1-5以上を陽性とした。その結果、内分泌治療を有効と予測する陽性反応的中率は10症例/12症例83.0%、内分泌治療を無効と予測する陰性反応的中率は6症例/6症例100.0%と良好な成績となった。 (4)FES集積を認めた転移性乳癌10病変の内分泌治療効果と原発腫瘍のホルモン受容体発現(免疫染色)を比較した。内分泌治療無効の2症例の原発腫瘍は、ともにPgRの発現消失(0%)を認めた。内分泌治療有効8例では、1%以上のPgR発現を認めた。以上のことから、FES-PET検査において、内分泌治療効果ありと予測できる転移性乳癌は、その原発腫瘍のPgR発現が1%以上の症例であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内分泌単独治療の適応となる転移腫瘍径2cm以上のER陽性転移性乳癌症例が少ないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの結果をまとめてFES-PETの有効性を報告し施行症例を増やす予定です。FES-PETが特に有効と思われる、エストロゲン受容体陽性、プロゲステロン受容体陰性群では、原発乳癌腫瘍においてもFES-PET検査を施行し、エストロゲン受容体の構造異常を検出することにより、術後の内分泌治療や化学療法の適応決定に寄与することを証明する予定です。
|
Research Products
(1 results)