2011 Fiscal Year Annual Research Report
EGCGによるAP-1を介した肝細胞癌発生抑制に関する研究
Project/Area Number |
22591428
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 努 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60566967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 博行 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20437007)
野本 周嗣 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40300967)
粕谷 英樹 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00402636)
竹田 伸 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314015)
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Keywords | EGCG / AP-1 / EGF / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
われわれは既にin vitroでの実験系において、正常肝細胞の悪性転換におけるEGF-EGFRの役割を明らかにしている。ヒト正常肝上皮細胞株であるTHLE-5Bを用いた培養で、EGF添加培地のコロニーでは、EGF無添加のものと比べてp-Aktとp-STAT3の発現は変わらなかったが、p-ERKの発現は減少し、p-c-junの発現は増加していた。この結果に合致して、c-jun阻害薬SP600125は形質転換を抑制した。c-Junはc-fosなどと二量体を形成し、転写因子Activator Protein-1 (AP-1)として細胞増殖,分化,アポトーシス,癌転移などにおいて機能することが知られている。ELISA法による転写因子―DNA結合アッセイでは、EGF導入により形成されたコロニーにおいて、AP-1活性が上昇していることまでを示していた。 EGF遺伝子導入マウスは肝癌が高率に発生することは知られている。今回、in vitroの結果を踏まえて、このEGF依存肝癌組織における遺伝子発現を検討し、またEGCG(緑茶に含まれるカテキンの1種)による発がん抑制効果を検討した。その結果、in vitroの結果と同様に、この肝癌組織ではc-junの発現が増加し, AP-1の活性が上昇していることが示された。また、同マウスにEGCGを経腹膜投与したところ、肝細胞癌の発生が有意に抑制された。経口投与でもわずかな抑制効果を認めたが有意ではなく、経腹膜投与がより有効であるという結果を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度では、ヒト切除肝組織からの培養細胞精製を試みた。これは、組織からの培養細胞精製は研究代表者が在籍していた米国Massachusetts General Hospitalで、マウス肝組織から行っていた手技(Yoon SS, Ann Surg 1998)であったが、今回のヒト組織では良質な培養細胞を精製するのに非常に難渋した。一度は正着するが、一定期間維持することが困難であった。この条件設定に時間がかかり、研究計画も変更することとなった。原因は不明であるが、やはりマウスとヒトの差によるものであると思われた。結果、正しい結果を得るための培養細胞を精製することは困難と判断し、この実験系は中止とした。 それ以外の実験系、たとえば遺伝子発現の検討などに関しては順調に経過したが、上記実験系の中止により、全体の実験計画も修正を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
11. に記述したように、ヒト肝癌組織からの培養細胞精製は、これ以上施行することは困難と判断した。もう少し条件設定に時間を要すれば施行不可能ではないが、これは今後の課題とした。それ以外の実験系は、予定通り継続とした。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] EGFR Inhibition Prevents Cirrhosis and Hepatocellular Carcinoma2011
Author(s)
Bryan C. Fuchs1, Yujin Hoshida, Tsutomu Fujii, Suguru Yamada, Gregory Y. Lauwers, Christopher M. McGinn, Lan Wei, Toshihiko Kuroda, Michael Lanuti, Supriya Gupta, Andrew Crenshaw, Robert Onofrio, Bradley Taylor, Wendy Winckler, Todd R. Golub, Kenneth K. Tanabe
Organizer
AASLD (The American Association for the Study of Liver Diseases) 62nd Annual Meeting and Postgraduate CourceThe - Liver Meeting 2011
Place of Presentation
San Francisco, California
Year and Date
2011-11-08