2011 Fiscal Year Annual Research Report
ビオチン標識miRNAを用いたプルダウン法による食道癌関連遺伝子の同定と機能解析
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22591433
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 守 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
岡 剛史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50160651)
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Keywords | microRNA / pull-down assay / 癌 |
Research Abstract |
特定のメッセンジャーRNA(mRNA)の3'非翻訳領域(UTR)の相補的に結合し、mRNAの翻訳制御とRNA interferenceによる分解を誘導するmicroRNA(miRKA)の最近の研究において、miRNAの発現変動には発癌やアポトーシスと密接な関連があることも報告されており、疾患との関係も注目されている、食道癌を含めた原因遺伝子が同定されていない癌に関しては、発癌においてmiRNAが癌遺伝子のように作用している可能性が大いに考えられる。また腫瘍細胞において正常細胞より発現が低下しているmiRNAは癌抑制系に関与していることが示唆される。 本研究では食道癌における発癌または癌抑制に関与するmiRNAを特定することを目標とすると同時に効率的な標的遺伝子の同定法を確立することにより、これまでに明らかにされていない様々な生命活動の解明に貢献することを目的としている。 標的遺伝子の同定法として、食道癌臨床検体および食道癌細胞株のプロファイリングから発現差のみられたmiR-XおよびmiR-Yのセンス鎖末端にビオチン標識した2本鎖miRNA(ds-miRNA)を合成し、このds-miRNAを細胞抽出液と混合することによりにmiRNA-標的mRNA3'UTR複合体を形成させる。その複合体をストレプトアビジンでpull-downする方法を行った。細胞抽出用溶液と相互反応後の洗浄溶液の組成や反応条件等は検討の余地があるものの、本方法でいくつかの標的遺伝子候補が得られ、これら候補のうち幾つかのタンパク質の発現量の変化についてウエスタンブロット法で確認することができた。今後はこれら標的遺伝子候補とmiRNAの細胞内相互作用の再検証と、相互作用のみられた標的遺伝子に関して機能解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNAの標的遺伝子の同定方法としてはまだ改良の余地はあるものの、本実験系においてmiRNA(miR-X,-Y)の標的遺伝子候補を得ることができた。これらの標的遺伝子候補について癌化に関わるか否かの機能解析にまで着手したかったが、今年度はそこまで到達することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
非特異の少ないmiRNAの標的遺伝子の同定方法の改良を試みるとともに、今年度に得られた幾つかの標的遺伝子候補の機能解析を中心に進めて行く予定である。 機能解析については、miRNAもしくはmiRNAのアンチセンス鎖を細胞に導入した際に標的遺伝子蛋白質の発現料変化と細胞の形態変化等を観察する。
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