2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性腫瘍に対する標的分子抑制ベクターによる抗腫瘍剤増感療法
Project/Area Number |
22591435
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
劉 大革 香川大学, 医学部, 助教 (30314941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 政龍 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10271511)
横見瀬 裕保 香川大学, 医学部, 教授 (80231728)
上野 正樹 香川大学, 医学部, 准教授 (30322267)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 薬剤耐性 / 抗腫瘍増感療法 / 抑制ベクター / shRNA / 進行期肺癌 |
Research Abstract |
本邦の非小細胞肺癌の約3分の2は進行期癌で,治療成績は未だ不良である.そのため,進行期肺癌に対する新治療戦略の開発が急務である.これまでの研究から,様々な抗腫瘍剤標的分子の腫瘍内過剰発現が,その抗腫瘍剤の耐性に関与することが報告されている.その中で最新の我々の研究から,抗腫瘍剤標的分子が遺伝子治療のターゲットとなり,抗腫瘍剤標的分子発現抑制ベクターにより抗腫瘍剤の感受性を獲得しうることが判明してきた.そこで我々は薬剤耐性の進行期癌の治療として,抗腫瘍剤関連分子の発現抑制ベクターと抗腫瘍剤の併用療法による化学・遺伝子治療の研究を行う.我々は臨床応用可能なshRNA (short hairpin RNA)発現ベクターを,導入効率の高いアデノウィルスベクターで作製し,癌細胞株でのRNA interference (RNAi)実験後,実験動物で標的分子抑制ベクターと抗腫瘍剤の併用療法による化学・遺伝子治療の研究を行う.予想される結果としては,抗腫瘍剤関連分子抑制ベクターの投与と対応する抗腫瘍剤の併用投与で,本来薬剤耐性であった腫瘍に対して抗腫瘍効果が期待できる.本研究における遺伝子治療が確立されれば,ほぼ全ての進行期肺癌に対して臨床応用できる.また,このような抗腫瘍剤感受性に関する標的分子の作用機序は,他臓器癌でも同様に適応される.更に,従来の抗腫瘍剤に耐性であった腫瘍に対して,この治療戦略が確立されれば,薬剤耐性を克服することにより,既存の抗腫瘍剤が新たに有用となり,臨床診療で大きく貢献することが考えられる.本年度は、計画通り抗腫瘍剤標的分子に合成siRNAによる遺伝子治療実験を実施し,siRNAのノックダウン効率を評価した.これにより得られた最適なsiRNA配列とループ配列を含むshRNA配列をプラスミドベクターに組み込み、shRNA発現プラスミドベクターの作成を完了した.
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