2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591437
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾崎 宣之 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40551255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高森 啓史 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (90363514)
近本 亮 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10419640)
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20240905)
石河 隆敏 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00343351)
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Keywords | PSTI / SPINK1 / EGFR / 膵癌 |
Research Abstract |
既にヒトPSTIに対する抗体を作製し、同抗体を使用し、Dynabeads Protein GビーズにAnti-PSTI抗体を結合させ、上記のPSTIを添加した細胞株のライセートと反応させる。Anti-PSTI抗体-PSTI蛋白-未知タンパク複合体を抽出する。上記工程で得られたタンパクを液体クロマトグラフ・質量分析計(LC-MS)を用いて網羅的に解析した。この工程においてbackgroundが解析の妨げとなり(Keratin等)上記backgroundを少しでも減少させるため、Anti-PSTI抗体-PSTI蛋白-未知タンパク複合体をZOOM IEF FractionatorにてpH別にフラクショネーションし、得られたタンパクを銀染色でさらにフラクショネーションした。Receptor-type tyrosine-protein phosphatase F precursor等の新規タンパクを抽出することができた。SPINK1が慢性炎症と癌化をつなぐ一因子である可能性にも注目している。慢性炎症によるSPINK1の過剰な増殖シグナルが発癌に寄与しているのではないかとの仮説をたて、マウスを用いて大腸炎、大腸癌におけるSpink3の発現を解析することとした。大腸炎の作製にはヒト炎症性腸疾患に類似するマウスモデルとして汎用されるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)投与モデルを用いた。DSS投与2日目より次第に軟便かつ便潜血が陽性になり、4日目にはほぼ全例で肉眼的血便となった。臨床所見より算出したDAIはDSS投与後6日目がピークとなり、その後漸減した。組織学的にはDSS投与後7日目より再生上皮が確認され、臨床所見とあわせて7日目以降を腸管再生期と位置づけることができる。さらに腸炎経過中のSpink3の発現をウエスタンブロットにて経時的に検討したところ、腸管再生期の7日目以降にSpink3が顕著に発現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質量分析計を用いた解析による新規レセプター解析のタンパク同定行程において、backgroundなどの種々の因子により同定が困難となっている。方法論を検討中であるが、Receptor-type tyrosine-protein phosphatase F precursor等の抽出可能であった新規タンパク質に関しての検討をin vitro, in vivoにて行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
SPINK1は細胞増殖活性を有するとてもユニークなトリプシンインヒビターである。SPINK1/Spink3は炎症により誘導され、腸管粘膜再生過程での細胞増殖に貢献するが、その増殖刺激がプロモーター刺激となり大腸癌発癌に向かうのではないかと考えられた。SPINK1は癌の発癌や進展において重要な役割を担っており、今後詳細なシグナル解析などを行うことで、SPINK1が癌における新規治療ターゲットとなる可能性がある。炎症と癌に関しても同様に解析を進めていく必要があると考えられた
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