2010 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型CEACAM-1はマウス移植乳癌の血管とリンパ管新生を促進する
Project/Area Number |
22591446
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 裕子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40148432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
柴田 雅朗 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (10319543)
森本 純司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90145889)
|
Keywords | CEACAM-1 / マウス乳癌 / リンパ管新生 / VEGF-C / Podolanin / Prox-1 / VEGFR-3 / リン酸化VEGFR-3 |
Research Abstract |
抗癌剤として盛んに使われている分子標的治療薬は血管・リンパ管新生の阻害を目的としたVEGFの受容体に対する低分子のマルチキナーゼ阻害剤である。現在、血管新生ばかりでなく、腫瘍細胞の生存・増殖阻止を狙った包括的なPI3K-Akt経路やMAPK経路などを標的としたキナーゼ阻害剤の開発が行われている。われわれは、乳癌細胞が乳汁とともに分泌するCarcinoembyonic antigen-related cell adhesion molecule-1(CEACAM-1-s)が腫瘍細胞の生存・増殖、血管新生だけでなく、リンパ管新生にも関与していると考え、包括的な抗癌剤療法への応用を目的としている。まず、今年度は実験的にマウスに移植した2種類の乳癌(リンパ管内皮増殖因子VEGF-Cを高発現している乳癌と低発現の乳癌)においてCEACAM-1がリンパ管新生にどのように関与しているかをおもに免疫組織化学的手法で検討した。VEGF-Cを高発現している腫瘍内において血管内皮マーカーCD31とリンパ管内皮マーカーpodoplaninを部分的に両発現している脈管が観察され、リモデリングが起こっていることが示唆された。CEACAM-1は血管およびリンパ管に発現していた。CEACAM-1はリンパ管内皮細胞転写因子Prox-1とも共局在しており、Prox-1とリンパ管内皮増殖因子のレセプターVEGFR-3が共局在していた。また、VEGFR-3はリン酸化しており、リンパ管新生が実行されていると示唆された。すなわち、CEACAM-1を発現した毛細血管においてProx-1が発現、ついでVEGFR-3が発現しリンパ管内皮増殖因子VEGF-Cにより毛細血管からリンパ管へのリモデリングが亢進したと考えられた。
|