2010 Fiscal Year Annual Research Report
CRP遺伝子多型による食道癌リンパ節転移診断法の開発と機序解明
Project/Area Number |
22591448
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本山 悟 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60292372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 起誉幸 秋田大学, 医学部, 講師 (80361228)
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Keywords | 食道癌 / リンパ節転移 / CRP / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
(1)食道癌を対象にした臨床研究の結果:当院で手術を行った食道癌患者約200症例を対象に、CRP遺伝子多型CRP1846C>T(rs1205)が食道癌リンパ節転移と密に相関するという新知見を得た(特許出願中)。つまりCRP 1846T/T型の食道癌患者はC/CあるいはC/T型の患者に比べ3倍以上リンパ節転移を伴いやすいという結果である。これらの研究成果が最も発揮されるであろう比較的早期の食道癌を対象とした場合、CRP1846C>T遺伝子多型によるリンパ節転移診断陰性的中率は88%、陽性的中率は78%と高く、現状の画像診断(CT、超音波、MRI)を用いた診断能を凌駕した。 (2)肺癌を対象にした臨床研究の結果:当院で手術を行った肺癌患者約200症例を対象にして検討した場合も同様の結果が得られ、また予後との関連も証明された。つまりCRP 1846T/T型の肺癌患者はリンパ節転移を伴いやすく、また治療後の予後も不良であるという結果である。 (3)他の固形癌を対象にした臨床研究:現在、多施設との共同研究として食道癌、肺癌のみならず、子宮癌、卵巣癌、胃癌、大腸癌でも同様に検討を重ねている。 (4)患者CRP遺伝子多型と食道癌局所(癌細胞)でのCRP産生との関連:食道癌において患者CRP遺伝子多型が血清CRP値のみでなく、食道癌局所(癌細胞)でのCRP蛋白産生と強く関与する事を証明した(論文投稿中)。 これら一連の研究結果から患者CRP遺伝子多型が個人に発生した固形癌の進展状況、特にリンパ節転移に大きく関与している事が判明した。
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