2011 Fiscal Year Annual Research Report
担癌状態における免疫抑制機序、特にTh17細胞の分布と誘導機序の解明
Project/Area Number |
22591452
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水上 佳樹 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (70530111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 浩二 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (40283204)
河口 賀彦 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (80402048)
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Keywords | Th17細胞 / 制御性T細胞 / Th1 / Th2 |
Research Abstract |
前年度の検討で、type 17 helper T細胞(Th17)とregulatoryT細胞(Treg)の癌局所における発現は相互排他的であることを明らかにしたが、その成果を踏まえて、ナイーブT細胞からTregに分化させるTGFβ、Th17に分化させるTGFβ、IL-6の局所での動態を検討した。その結果、癌局所においてTGFβ、IL-6のいずれも発現しているが、癌の進展に伴って有意にIL-6の発現が低下しており、癌局所はナイーブT細胞をTregに誘導してゆく微小環境にあると考えられた。そこでTh17を誘導することが、癌免疫療法の効果増強に重要であるとの観点から、antibody-dependent cell-mediated cytotoxicityによりNK細胞の機能と、さらにその活性化マーカーであるNKG2D, CD16, CDIO7a, NKp30, NKp44, and NKp46を、healthy volunteerに免疫栄養剤(Impact, 750mL/d)を5日間投与(Immunonutrition : IMNT)する前後で測定し評価した。同時にCD56(dim)NI(、Th17、Tregの密度も検討した。その結果、IMNTはNK細胞機能であるantibody-dependent cell-mediated cytotoxicityを増強させ、同時にその活性化マーカーのなかでもNKG2DとCD16の発現を亢進させた。また同時に免疫能に強く関わっているCD56(dim)NK細胞の増加ととともに、Th17,の著名な増加が認められた。この結果は癌免疫療法の有効性を担保するためには、Th17の誘導と維持が必要であることを示したと同時に、その臨床応用の可能性を示したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は、癌免疫療法の効果増強を如何に誘導するかである。そのために癌局所という微小環境の中で、免疫活性化の機序と免疫抑制の機序がどのようなバランスにあるのかをTreg,Th1,Th2,Th17の分布でみたものであるが、その分布とまた各細胞の関係が解明することができた。ほぼ計画通りでおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、癌局所での免疫バランスは解明できたと思われる。今後は癌免疫療法を有効なものにするために、癌局所にそのような免疫環境を誘導する方法を検討する。そのためのキーワードはケモカインである。Tregの誘導因子であるケモカイン(CCL22,17)、Th17を制御するIL-21,IL-23を癌局所で解析し、これらを操作することにより、癌細胞を攻撃する環境を癌局所に創出することを目指す。研究計画等の変更はない。
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