2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌幹細胞におけるWntシグナル機構の解明と制癌療法への応用
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22591453
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田邊 和照 広島大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40379847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 崇久 広島大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (80467779)
徳本 憲昭 広島大学, 病院, 助教 (90564980)
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Keywords | 癌 / 癌幹細胞 / Wntシグナル |
Research Abstract |
本研究は胃癌幹細胞における特異的マーカーの同定およびWntシグナルをはじめとした胃癌幹細胞における浸潤・転移能に関わる分子機構解明を目的とし本年度は以下の通り実施した。 1.胃癌幹細胞集団の特異的マーカーの同定:複数の胃癌細胞株を用いてHoechst33342色素の排出能力や細胞表面タンパクの発現およびaldehyde dehydrogenase (ALDH)活性をマルチカラーFACSを用いてソーティングを行った。その結果、CD24(-)の細胞集団において高い腫瘍形成能をみとめたが、spheroid colony assayなどでの自己複製能はCD24(-)単独では認められなかった。 2.一方、長期的な培養下や低酸素条件下において、CD24(-)からCD24(+)陽性へと誘導されてくることが明らかとなった。CD24(+)細胞は陰性細胞と比較し高い運動能・浸潤能を有しており、このことが抗がん剤耐性にも寄与している可能性が示唆された。 現在、胃癌腹膜播種モデルを作成し、CD24のknock-downなどによるmodulationにより転移能の変化を検討している。また、CD24の発現制御メカニズムについても検討中である。これらの結果をもとに、CD24をターゲットとした新たな制癌療法の基盤となる研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胃癌幹細胞の同定についてCD24をマーカーとした際に単独あるいはその他のマーカーと合わせても現時点で幹細胞を証明できる結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の過程で低酸素条件下などでの胃癌細胞はCD24陰性→陽性転化する傾向がみられ、またCD24陽性細胞において高い運動能・侵潤能を持つことが明らかとなった。これらの事から、CD24を胃癌の悪性化因子の一つとしてその制御メカニズムを解析することで新たな制癌治療の基盤となる研究となると考え研究の推進方向を変更した。
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