2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA2重鎖切断修復機構の制御による難治性消化器癌に対する革新的治療戦略
Project/Area Number |
22591457
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
佐伯 浩司 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究部), 統括診療部, 消化器外科医師 (80325448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛地 吉弘 九州大学, 医学研究科, 准教授 (80284488)
森田 勝 九州大学, 大学病院, 講師 (30294937)
吉永 敬士 九州大学, 大学病院, 特任助教 (90507790)
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Keywords | 食道癌 / 発癌 / 癌抑制遺伝子 / p53 / LOH / 遺伝子変異 / DNA2重鎖切断 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
細胞の核内ではさまざまなタイプのDNA損傷が常時引き起こされていることが知られているが、細胞生命の維持のためには速やかに修復されなければならない。また、DNA2重鎖切断修復系は、放射線照射、DNA架橋剤などの抗癌剤の感受性を規定する重要な経路である。これまで癌細胞においてDNA2重鎖切断に引き続いておこるLOHのメカニズムを詳細に調べた報告は少ない。 我々は、食道癌におけるp53遺伝子座のloss of heterozygosity(LOH)を解析し、発癌過程における意義を明らかにすることを目的に、comparative genomic hybridization(CGH)、 fluorescence in situ hybridization(FISH)、 single nucleotide polymorphism-CGH(SNP-CGH)による解析を行った。 食道癌細胞株10株中4株にp53遺伝子変異を認めたが、すべてにおいて野生型シグナルが変異シグナルに完全に置換されていた。p53遺伝子領域のLOHの存在が示唆されたため、CGHにより遺伝子コピー数を解析したが明らかなコピー数変化を認めなかった。また、食道癌臨床検体と細胞株を用いてFISHを施行したところ、p53遺伝子変異を伴うLOHの85.7%がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラル LOH)であることが明らかとなった。SNP-CGHにて解析したところ、染色体不安定性がコピーニュートラル LOHの原因であることが示された。 以上より、p53遺伝子変異を伴う食道癌においてはp53遺伝子座のコピーニュートラル LOHが癌発生の重要なメカニズムであることが示唆された。
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