2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA2重鎖切断修復機構の制御による難治性消化器癌に対する革新的治療戦略
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22591457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (80325448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛地 吉弘 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80284488)
森田 勝 九州がんセンター, 消化器外科, 医長 (30294937)
吉永 敬士 九州大学, 大学病院, 特任助教 (90507790)
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Keywords | DNA損傷 / 放射線照射 / 抗癌剤感受性 / loss of heterozygosity / SNP-CGH / コピーニュートラルLOH / DNA2重鎖切断修復 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
細胞の核内ではさまざまなタイプのDNA損傷が常時引き起こされていることが知られているが、細胞生命の維持のためには速やかに修復されなければならない。また、DNA2重鎖切断修復系は、放射線照射、DNA架橋剤などの抗癌剤の感受性を規定する重要な経路である。これまで癌細胞においてDNA2重鎖切断に引き続いておこるLOHのメカニズムを詳細に調べた報告は少ない。 食道扁平上皮癌切除標本91例と細胞株10株を対象とし、ダイレクトシーケンス法によるp53遺伝子変異解析、p53遺伝子近傍のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析を行った。さらにLOHの詳細なメカニズムを解析するため、CGH、FISH、SNP-CGHを行った。食道癌切除症例においてp53遺伝子変異を42例(46.2%)、LOHを47例(51.6%)に認めた。p53遺伝子変異症例では高頻度(73.8%)にLOHを伴っていた(p<0.01)。食道癌細胞株10株中4株にp53遺伝子変異を認めたが、すべてにおいて野生型シグナルが変異シグナルに完全に置換されていた。p53遺伝子領域のLOHの存在が示唆されたため、CGHにより遺伝子コピー数を解析したが明らかなコピー数減少を認めなかった。また、食道癌臨床検体と細胞株を用いてFISHを施行したところ、p53遺伝子変異を伴うLOHの大部分がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラルLOH)であることが明らかとなった。そのメカニズムについてSNP-CGHにて解析したところ、染色体不安定性がコピーニュートラルLOHの原因であることが示された。以上から、p53遺伝子変異を伴う食道癌においてはp53遺伝子座のコピーニュートラルLOHが癌発生の重要なメカニズムであることが示唆された(Saeki H et al.Clin Cancer Res, 2011)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食道癌の発生・進展機構のこれまでの研究結果で、p53遺伝子変異を伴うLOHの大部分がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラルLOH)であることが明らかとなった。そのメカニズムについてSNP-CGHにて解析したところ、染色体不安定性がコピーニュートラルLOHの原因であることが明らかとなり、Clinical Cancer Research誌に発表した。現在は、DNA2重鎖切断修復系に着目して食道癌の化学照射療法の感受性予測因子の検索とその制御に関する研究を遂行中である。よって、計画にほぼ近い状況で研究はおおむね順調に進展しているものと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
Rad51はDNA2重鎖切断修復に関わる因子であるが、放射線照射やプラチナ製剤の治療効果を規定すると考えられている。治癒切除可能進行食道癌に対する術前化学照射療法の臨床的意義と治療前標本におけるRad51発現の効果予測因子としての意義を明らかにするために、術前化学照射療法後に切除術が施行された食道扁平上皮癌の治療前生検標本を用いてRad51発現を免疫染色により評価し、組織学的治療効果との関係を検討することとしている。統計学的解析が行えるだけの十分なサンプル数を集積するのは自施設のみでは不十分であるため、他施設との共同研究を計画している。
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Research Products
(4 results)