2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジフテリアトキシン融合蛋白とPSKの消化器癌に対するペプチドワクチン療法への応用
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22591466
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 浩明 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90382168)
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Keywords | 免疫学 / 臨床 |
Research Abstract |
【背景】癌細胞自身のMHC Class I発現低下は、癌の免疫逃避機構の一因となる。胃癌を含むいくつかの消化器癌において、原発巣のMHC class Iの発現低下は、重要な予後因子となることが報告されている。PSKはカワラタケより抽出された糖蛋白で免疫増強効果を有し、胃癌治癒切除後の補助療法として保険適応となっている。【目的】胃癌原発巣におけるMHC class I発現の予後因子としての意義を検討し、術後補助療法におけるPSKの適応について検討した。 【対象と方法】1995年より2008年までに根治切除し術後補助療法の適応となるStageII/III胃癌349例を対象とした。原発巣およびリンパ節転移病変におけるMHC class I発現を免疫組織染色にて陽性と陰性に分類し、臨床病理学的因子について検討した。同時にPSK投与有無の2群に分類し、生存期間について検討した。【結果】原発巣においてMHC class I発現陽性は193例(55%)、陰性は156例(45%)であった。陰性例中、87%の症例にリンパ管侵襲が認められた。MHC class I発現陽性例では、PFS,OSともに陰性例と比較して有意に良好であり、MHC Class I発現は独立した予後因子であった。リンパ節転移を認めた症例206例について、転移巣のMHC Class I発現は、原発巣の発現が陽性であった症例中63%がリンパ節転移巣で発現が陰性転化した。PSK投与群と非投与例群との比較では、高度リンパ節転移例(pN2以上)において、PSK投与群が有意に予後良好であった。 【結論】胃癌原発巣のMHC class I発現低下は、リンパ管侵襲、リンパ節転移と相関しており、独立した予後不良因子である。PSKはリンパ節転移陽性、MHC Class I陰性例に効果的である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前半の免疫抑制性樹状細胞の誘導に関しては終了した。現在、ジフテリアトキシン蛋白の細胞障害活性に関する実験を行っているがまだ、達成していない
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ペプチド特異的細胞障害性T細胞を誘導し、胃癌細胞株への影響を調べ、ジフテリアトキシンやPSKなどのadjuvantによる細胞傷害増強効果について検討する予定である。
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Research Products
(3 results)