2011 Fiscal Year Annual Research Report
IAPファミリーを標的とした新規大腸癌治療法の開発
Project/Area Number |
22591477
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木内 誠 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (90422146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 伸樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (50547403)
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Keywords | 大腸癌 / IAPファミリー / 癌治療 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.ホルマリン固定標本を用いたタンパク質発現・アポトーシス解析大腸癌外科切除標本のホルマリン固定標本を用いて、cLAP2(抗体:ab32059)、XIAP(ab21278)、cIAP1などについて免疫組織化学的手法にて解析を行っている。同一症例内の癌部と非癌部の染色様式に一定の法則を見出してはいないが、癌部では非癌部よりも染色の強い傾向は明らかで、また進行癌においてCIAP2、XIAPともに染色の強い結果が得られている。また各症例において、先に行ったmRNAレベルの発現章とは相関がある。 2.IAPファミリーの発現抑制による5-FUを含めた抗がん剤感受性の変化の検討私たちはこれまで、大腸癌細胞においてcIAP2をsiRNAにより発現抑制することで、5-FUの感受性を高められることを報告した(Canoer Sci. 2009 May;100(5):903-13)。また研究代表者らは2010年に、5-FUを含むフッ化ピリミジン製剤が胃癌・大腸癌の中心的役割を担っていることを総説した(Kinouchi M,ほかCancers(ISSN:2072-6694), Special Issue : Cen Death and Cancer ; MDPI Publishing 2010 Vol.2,1717-1730)。私たちのグループは、フッ化ピリミジン製剤の中でも特にS-1に着目している(Expert Opin Drug Deliv.2012 Mar;9(3):273-86)。これらの報告をさらに発展させるために、cIAP2およびXIAPをsiRNAにより発現抑制することにより、各種抗がん剤の感受性(IC50値)がどのように改善できるかについて検討を行い、結果を集積中である。 3.遺伝子発現プロファイルを用いたIAPファミリー発現制御機構解析NCBIサイト内のGEO(Geme Expression Omnibus)で公開さている大腸癌、正常大腸粘膜のマイクロアレイデータを用いて、IAPファミリーの発現、またIAPファミリーの発現と相関・逆相関する遺伝子も併せて解析を行うことで、大腸癌におけるIAPファミリーの発現制御機構の検討を行う。本邦のマイクロアレイ解析の第一人者である産業技術総合研究所生命情報工学研究センターの藤渕航先生との共同研究を行っており、必要時はいつでも相談可能な状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IAPファミリーの遺伝子群の発現抑制が、各種抗がん剤の感受性(IC50値)がどのように改善できるかは重要な課題であり、全容を是非明らかにしたい。また免疫組織化学などの結果は、上記のデータを支持する重要な情報であり、これらの結果から全体像を明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro,in vivoによるIAPファミリーの遺伝子群の発現抑制による各種抗がん剤の感受性の変化を明らかにしていく。またIAPファミリーの免疫組織化学の結果と臨床像との相関から、IAPファミリーを標的とする癌治療が、大腸癌そのほかの癌腫においてどのように有効に使用できるかを明らかにしていく。NCBIのデータを活用することで、大腸癌以外の癌腫における治療効果を予測していく。
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