2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22591485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 教授 (60273455)
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Keywords | 内視鏡手術 / 大腸癌 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
我々が提案するLymph node navigation surgeryは、術中にリンパ節転移を診断しながら手術操作を進めるというものであり、リンパ節転移の術中評価法として腫瘍の蛍光診断に着目した。 ヘム合成の前駆物質であるアミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid ; 5-ALA)は、その代謝産物であるプロトポルフィリンIX(Protoporphyrin IX ; PPIX)が腫瘍細胞特異的に蓄積し、青紫色の励起光により赤色の蛍光を呈する性質を持つ。マウス大腸癌リンパ節転移モデルにおいて、5-ALAを用いた蛍光観察により転移リンパ節の同定が可能かどうかを検討した。検出機器としては膀胱腫瘍の同定のためすでに市販されているKarl Storz社製のD-light Systemを使用した。この機器は、通常内視鏡の光源および検出器にPPIXの蛍光波長を特異的に検出できるフィルターを組み込んだものである。5~8週齢のヌードマウスの虫垂壁に、ヒト大腸癌細胞株HCA-7の野生株あるいはGFP標識株をそれぞれ1×106個接種した。約3週間後に5-ALAを40mg/kg経口または腹腔内投与し、3ないし6時間後にD-Light Systemを用いて蛍光観察を行った。原発腫瘍が成立したすべてのマウスの腸間膜内に、正常マウスでは認められない多数の小結節が形成された。これらはGFP標識株接種群ですべてGFP陽性であり、病理学的にも転移であることが確認された。経口投与群では、原発巣や腹壁転移など一部の癌組織に淡い蛍光を認める場合もあったが、腸間膜内の結節に蛍光は認められず、リンパ節転移の同定は困難であった。一方腹腔内投与群では、腸間膜に生じた結節すべてに一致する赤色蛍光を認め、蛍光強度は投与後3時間の方が6時間よりも強い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りにおおむね実験計画は進んでおり、現在までに得られた実験結果は学会発表のみならず論文発表することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスをつかった動物実験では、既に5-ALAを用いた蛍光観察によるリンパ節転移診断がある程度可能な事を示す事ができたため、今後はこれらの実験結果が実地臨床に応用可能かどうか、ヒト臨床検体等を用いてさらに詳細な検討をしていく予定である。
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