2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591488
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上野 富雄 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70284255)
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Keywords | 小腸再生 / 間葉系幹細胞 / 小腸粘膜下層 |
Research Abstract |
『再生医療を駆使した新しい小腸伸張術』は、単に小腸を伸長させるだけでなく、間葉系幹細胞 (mesenchymal stemcell ; MSC)と小腸粘膜下層(small intestinal submucosa ; SIS)を用いることにより、Bianchi手術よりも物理的な小腸面積を飛躍的に増加させる。本治療法の成否は再生した小腸の生理機能如何にかかっているので、本研究ではその機能評価を行うことを目的としている。 まず大動物において、広範囲の小腸欠損が、SISにより、修復可能か否かの生存実験を行った。ビーグル犬に対し、約7cmにわたり、小腸間膜を可能な範囲で前葉・後葉に二分し、半葉の小腸半周を切除し、そこにSISを縫着し修復した。5頭に施行したが、いずれも急性腹膜炎等を発症することなく、6カ月以上生存している。一方、ビーグル犬の胃に対して径約5cmの広範囲欠損を作製した後、SISによる修復実験を試みたところ、縫着部の破綻をきたし、施行3頭でいずれも急性腹膜炎にて死亡したため、胃を用いた実験は中断した。以上の実験の結果から、大型動物におけるSIS(および間葉系幹細胞)を用いた修復は、小腸では十分達成し得ると判断した。また1年後を目途にイヌ小腸再生部の機能ならびに形態評価を行う予定である。 他方、イヌ腸間膜の形態はヒトと異なり辺縁血管と小腸とが近接しており、Bianchi手術が可能なほど、小腸腸間膜を前葉・後葉と二分にすることができないことが判明した。そこでヒトとブタの内臓器が近似していることに着目し、マイクロミニピッグの小腸腸間膜を検討したところ、ヒトに近似した腸間膜の形態を示していた。そこで、来年度はマイクロミニピッグを用い、SISおよび間葉系幹細胞を用いた小腸再生修復実験を行う予定である。
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