2011 Fiscal Year Annual Research Report
耐性機序を克服する新規抗癌剤ニュージェムシタビンの開発
Project/Area Number |
22591512
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
砂村 眞琴 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (10201584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40249983)
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Keywords | 膵癌 / ジェムシタビン / 薬剤耐性 / 新規抗がん剤 |
Research Abstract |
Gemcitabine(GEM)により膵癌治療成績は改善したが、長期生存例を生み出すまでには至っていない。これまでのゲノム解析・プロテオミクス解析などにより、GEMの薬剤耐性機序としてトランスポーターが重要である可能性が示唆されてきた。そこで、トランスポーターに影響を受けずに癌細胞内へ移行でき、癌細胞内で容易に活性型となる特徴を有する。New-GEMの試作を試みた。モデルケースとして、GEM耐性の膵癌細胞株3種類(GEM感受性が高いもの、中等度のもの、低いもの)から耐性細胞株を樹立し、New-GEMを試みたが、いずれも有効ではなかった。耐性の分子機構を解析するため、GEMの細胞内取り込み、細胞外への代謝産物の排出を質量分析で調べたところ、両者とも極めて迅速であったが、細胞内で活性化させる際のKey enzymeであるdeoxycytidine kinase(DCK)の不活性化変異がすべての耐性株で見られた。さらに3つの耐性株を樹立して調べたところ、DCKの不活性化変異が2株で見られ、最終的に5/6(83%)の耐性株においてDCKの不活性化が関わっていることが判明した。 膵癌の早期診断のためにメタボローム解析を行い、いくつかのバイオマーカーとなりうる分子を特定することができた。パイロット的に少人数の患者検体データでは、これらの中にきわめて有望と思われる分子があった。今後、多数の患者検体を用いたvalidateが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
New-GEMの試作物は樹立したGEM耐性細胞株には有効ではなかったが、重要な耐性の分子機構を明らかにすることに成功した。当初の予想と大きく異なる事実が判明したが、それに対抗する方策へのヒントが得られたため、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
GEM耐性の分子機構としてトランスポーターによるものもあるであろうが、DCKの不活性化によるものも重要であることが判明した。したがって、今後の研究の方向性としては、以下の項目が重要となる。 (1)DCKを介さない抗がん剤の併用による膵癌治療 (2)DCKを利用しないNew-GEMの開発。 次年度はこれらに力点を置いて研究を進める。
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[Journal Article] DCK is frequently inactivated in acquired gemcitabine-resistant human cancer cells2012
Author(s)
Saiki Y, Yoshino Y, Fujimura H, Manabe T, Kudo Y, Shimada M, Mano N, Nakano T, Lee Y, Shimizu S, Oba S, Fujiwara S, Shimizu H, Chen N, Nezhad ZK, Jin G, Fukushige S, Sunamura M, Ishida M, Motoi F, Egawa S, Unno M, Horii A.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 421
Pages: 98-104
DOI
Peer Reviewed
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