2011 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素解析を用いた胸部大動脈瘤破断予測:ステントグラフト術後遠隔期予後への応用
Project/Area Number |
22591533
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 紀一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80396564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 佳克 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50372298)
本吉 直孝 東北大学, 病院, 講師 (40375093)
渋谷 拓見 東北大学, 病院, 助教 (10526453)
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Keywords | 胸部大動脈瘤 / ステントグラフト / 有限要素解析 |
Research Abstract |
当教室では、CT画像から構築した胸部大動脈瘤の有限要素モデルを用いて、応力を推定する方法を開発した。今回の研究目的は、これを発展させ、以下を明らかにすることである。(1)より詳細な有限要素モデルを作成し破断危険値を推定する。(2)大動脈内が2腔になるモデルであるステントグラフト留置後や大動脈解離後の有限要素モデルを作成し、大動脈瘤拡大、縮小の条件を解明する。平成23年度は、従来からのモデル作成法に準じて、より複雑な実在の真性大動脈瘤解析症例を増加させた。その結果、ほぼすべての形態の真性大動脈瘤を解析することが出来た。中には破裂直前のCT画像や破裂直後の画像も含まれており、症状を伴った切迫破裂例も含まれていることから、これらのデータから相当応力の破裂危険域を推定できた。また、部位別にも大動脈弓部、下行大動脈の動脈瘤数が増加してきており、それぞれの危険域を推定できた。解析症例は今後も増加する見込みであり、一定数に達した後に統計学的評価を加える予定である。また、ステントグラフト術後モデルおよび大動脈解離モデルは、2腔モデルであり、現在構築方法を開発中である。ステントグラフト内挿術(TEVAR)後の症例のCTDICOMデータを用いて3D-Doctor上でステント内、Exclusionされた瘤内と2腔べつべつにトレースし、ANSYS上であらたに構築させた。ステントは主としてGoreTAGを用いており、TAGの材料定数を用いてステント内は算出する。また、ステント外動脈瘤内の血圧は文献的推定圧を用いて推定し、解析することとした。大動脈解離モデルは作成が同様に真腔と偽腔を2腔別々にトレースして作成する予定である。偽腔の定数として大動脈壁を1mmと設定し、さらに大動脈フラップを1mmと設定する予定としているが、材料定数と偽腔内圧の設定が困難といえる。これらを設定し解離モデルを完成させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
真性動脈瘤破裂モデルは順調に解析できており、推定危険域もほぼ予測されてきたが、ステントグラフト後や大動脈解離モデルは有限要素モデルの構築がかなり困難であり、計算可能なモデルは完成していない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、モデルとして完成している真性大動脈瘤モデルを用いて相当応力値の破裂推定危険域を決定し、臨床現場に応用する方向で検討している。壁性状、血栓などを考慮したモデルも作成する。また、未完成である2腔モデル(ステントグラフト後、大動脈解離)に関しては、3次元構築ソフト上でのトレース方法を変更することを検討中である。
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