2011 Fiscal Year Annual Research Report
同種組織移植におけるメチシリン耐性菌増殖抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
22591537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎籐 綾 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10431868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 昇 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40332580)
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Keywords | 心臓血管外科学 / MRSA |
Research Abstract |
凍結保存同種心臓弁・大動脈組織(ホモグラフト)は、感染性心血管病変に対し人工弁・人工血管よりも治療成績が優れていることが知られている。その抗感染性メカニズムについて、移植後に組織内に発現されるTrp代謝酵素Indoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)の関与が過去の新鮮な血管グラフトを用いた実験データにより示唆されてきた。本実験では凍結保存を施した血管組織を用い、同種移植後グラフト内におけるIDOの発現とグラフト抗感染性に対する関与形態についてMRSAを用い検討した。初年度には、ラット血管移植モデルによる胸部大動脈を腹部大動脈へ移植する方法を用いた。ドナーにはLewis ratを、レシピエントはBrown Norway rat(allogeneic, 同種移植)とした。移植用グラフトは、新鮮(F)グラフトまたは凍結保存(CP)グラフトとし、移植を受けないFグラフトをコントロール群(ctrl群)とした。CP群における血管組織の凍結方法は、臨床で用いられるヒト心臓弁・血管組織の処理と同様にprogrammed freezing methodにて、-1℃/分の速度で凍結し-80℃にて保存、移植実験の際に適宜急速解凍し用いた。移植後7日目及び14日目にグラフトを摘出(各群n=6)。 また、23年度はホモグラフトの臨床データについても分析し、実験の妥当性について再確認した。特に、凍結保存同種血管を大動脈食道瘻という救命困難な重症感染性大動脈疾患(特に原因菌がMRSAである場合)に対して移植した場合、大動脈ステント留置術による治療より明らかに救命率が高いことが臨床データから確認できた。これにより、全該当症例に関するデータをまとめ学会・論文報告を先行させる計画に変更した。これにより動物実験着手は2012年2月頃からの開始となり、実験データを収集しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
凍結保存同種血管を大動脈食道瘻という救命困難な重症感染性大動脈疾患(特に原因菌がMRSAである場合)に対して移植した場合、大動脈ステント留置術による治療より明らかに救命率が高いことが臨床データから確認できた。これにより、全該当症例に関するデータをまとめ学会・論文報告を先行させる計画に変更した。この報告は、本研究の凍結保存同種血管が感染抵抗性があるという臨床的裏付けとして重要であり、実験の主旨を支持する内容であった。これにより動物実験着手が約8カ月遅れ2012年2月頃からの開始見込みとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット血管移植モデルによる胸部大動脈を腹部大動脈へ移植する方法を用い、新鮮(F)グラフトまたは凍結保存(CP)グラフトを検討に必要な数だけ採取する。摘出したサンプルはreal-time PCRによりIFN gamma, TNF alpha, IDOのRNA発現を定量測定。また同時に、各摘出グラフトおよびctrl群は、Muller-Hinton液に浸漬・加熱し組織内成分を上澄み液として抽出。MRSA培養の際に上澄み液を培地に加えることによって各群のMRSA増殖に与える影響の差を確認する予定である。
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Research Products
(3 results)