2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化と内弾性板の加齢性断裂:その発生・修復・破綻過程の超微構造解析
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22591542
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 愛二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50168986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百田 龍輔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80263557)
田口 勇仁 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (70188134)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 細胞・組織 / 血管 / 動脈 / 内弾性板 / 電子顕微鏡 / 血管鋳型標本 |
Research Abstract |
毛細血管を除き血管壁には多かれ少なかれ弾性線維が含まれている。そして弾性線維は血管壁に弾性性・柔軟性を与え血行力学に影響を及ぼし、血管機能に強く関係する。 血管壁の内弾性板の断裂様式の解析:ラットの腹側尾動脈の血管鋳型標本を詳細に観察し,内弾性板断裂部に特徴的なインプリントが出現することを確認した。 正常な内弾性板の線構造解析:様々な血管壁の弾性線維の三次元構造を明らかにし、血行力学を交えて解析することに成功した。我々は血管内にメタクリレート樹脂注入固化後,試料をギ酸を用いて分別しながら緩徐に消化するという,血管壁の弾性線維構築を観察する新しい走査型電子顕微鏡観察法を開発した。そしてこの方法により、従来の方法では不可能であった細動脈・細静脈などを含めた全てのレベルの血管壁弾性線維の三次元構造を観察することが可能になった。血管内皮下の弾性線維は基本的にメッシュシート上の構造物であった。そしてそのメッシュ構造は血流方向に平行な長軸を持っていた。しかしながら,血管のタイプと血管径に応じそのメッシュ密度・メッシュの太さが変化することがわかった。太い血管の方がより高い密度のメッシュ構造を持ち、静脈系の方が動脈系に比べて疎な密度構造であることがわかった。また,細動脈レベルでもわずかではあるが弾性線維のメッシュがみられることがわかった。これらの結果は血圧などの循環状態と密接に関係することが考えられる。今回新たに開発した方法により弾性線維断裂部(動脈硬化病変部)を含め,従来観察しにくかった壊れやすい組織の弾性線維三次元構造観察が可能になった。 これらの構造物が弾性線維と一致することを,EPON包埋した試料の超薄切片の透過電子顕微鏡観察によって,確認した。
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Research Products
(1 results)