2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化と内弾性板の加齢性断裂:その発生・修復・破綻過程の超微構造解析
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22591542
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 愛二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50168986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百田 龍輔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80263557)
田口 勇仁 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (70188134)
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Keywords | 弾性線維 / エラスチン / 三次元構造 / 内弾性板 / 組織消化法 / アミノ酸分析 / 血管 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
【目的】我々は以前、血管鋳型法とギ酸消化法を組み合わせ、微小血管内皮下弾性線維構造を観察し報告した。今回、その詳細と、種類・サイズによる変化を報告する。また我々が観察する消化物が、どの程度エラスチン以外の蛋白質を除去できているか検討する。【方法】Wistar系ラットを用いた。血管鋳型注入後試料をギ酸にて消化し、走査型電子顕微鏡にて観察した。その構造の血管の種類・サイズによる変化も観察した。また消化後試料に6N HClを少量加え加水分解管に移しとり、さらに適量の6N HC1を加え脱気及び窒素置換後に封管した。加水分解(110℃、48h)を行った後、エバボレーターにより濃縮した。残渣にP-21(lst)生体アミノ酸分析用緩衝液を500μ1加えて十分に溶解後、0.45mメンブレンフィルターにて濾過したのち、濾液をアミノ酸自動分析機(日本電子、JLC-500V)にて分析した【結果と考察】内皮下弾性線維構造はメッシュ状であった。それは約50nmの線維が束になり構成されていた。そのメッシュ構造は単にシート状ではなく、厚みを持ったメッシュ構造であった。またメッシュ構造は血流方向の軸を持っていた。そして静脈より動脈、細い血管より太い血管の方がより高いメッシュ密度を持っていた。弾性線維の方向は生産細胞の方向に準じるため、血管軸方向の内皮細胞が主に内皮下弾性線維構造をつくり、その構造は血管壁にかかる内圧に応じた構造になっていることが示唆された。また、我々が標的としている血管壁内皮下弾性線維構造はアミノ酸分析により、エラスチン蛋白のアミノ酸組成とほぼ同等で、またエラスチン特有のタンパク質(デスモシン・イソデスモシン)を含んでいることがわかった。このことは我々が観察している消化試料はほぼエラスチン蛋白であることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病変部の弾性線維構造を観察し、正常部と比較するために、観察方法の確立を行った。血管壁弾性線維の詳細な構造は過去に報告が無く、今後、動脈硬化病変部を評価する上で欠かせないデータとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が開発した血管壁内皮下弾性線維構造評価法を形態学的観察・アミノ酸分析により確立できた。またその方法により正常な血管壁内皮下弾性線維構造を詳細に観察することができた。今後は、この方法と正常ラットのデータを活かして、動脈硬化モデル・高血圧モデルの血管壁内皮下弾性線維構造の変化を詳細に観察する予定である。また現在までのデータを学会発表し論文にまとめている途中である。
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Research Products
(3 results)