2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮前駆細胞移植による血管新生療法に対するShh遺伝子治療の併用効果
Project/Area Number |
22591555
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岡崎 悌之 久留米大学, 医学部, 講師 (00289456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊井 正明 (財)先端医療振興財団, 研究員 (10442922)
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Keywords | 細胞治療 / 遺伝子治療 / 血管新生 |
Research Abstract |
この研究では、虚血性疾患に対する細胞移植の血管新生療法の効果を増強するためソニックヘッジホック(Shh)の併用を行い、より成熟した血管形成を行うことを目的とした。初年度は、ヒトCD34陽性細胞のShh系シグナルを活性化することで、より成熟した血管形成が促されるのではないかということを証明するためin vitroにおいて基礎実験を行った。ヒトCD34陽性細胞とSHh蛋白を共培養(Shh併用群)することで、CD34陽性細胞の増殖遊走能・血管形成細胞への分化能は向上、サイトカイン合成能は亢進、そしてより血管構成細胞(血管内皮細胞、平滑筋細胞)に分化し、成熟血管形成の可能性があると仮定した。結果として1)Shh併用群では細胞単独群に比し、Shhシグナルの関連遺伝子の高発現していたことよりそのシグナル経路が有意に活性されていること、さらに血管新生関連遺伝子も有意に高発現していることを証明した。2)細胞機能評価(増殖能・接着能・遊走能)において、Shh併用群で有意に機能が改善していた。3)血管新生能(コロニー形成能・管腔形成能)についても、Shh併用群で有意に良好であった。4)最後にShh併用群について、内皮系および平滑筋系分化誘導培地に分化誘導能を確認したが、それぞれの細胞への分化能を高めることも明らかにした。2)-4)の実験については、Shh蛋白濃度別に実験し今後の実験における適切な濃度を判定した。H22年度の実験結果は、「虚血性疾患に対する自家CD34陽性細胞移植治療において、Shhを局所発現させることにより移植細胞の血管系細胞への分化を促進し、成熟血管の形成を伴った血管新生が期待できる可能性」を示唆する重要な基礎データとなった。H23年度以降は、この細胞を移植細胞とし、ヌードマウスなど使用したin vivoの実験を予定している。
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