2010 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム細胞分子動態解析法による肺がんの低酸素バイオロジーの解明
Project/Area Number |
22591567
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮田 義浩 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50397965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 守人 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70446045)
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Keywords | 肺がん / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究はビデオマススコープを用いて、低酸素や抗癌剤治療により肺癌細胞内で起こるFDG (fluoro-2-deoxy-D-glucose)の蓄積を観察し、肺癌の悪性度評価に対するFDG-PETの可能性を明らかにすることを目的とする。肺癌におけるFDGの取り込みは細胞膜に過剰発現したGlut-1を介して行われている。本年度は非小細胞肺癌におけるGlut-1発現とFDG-PETでのSUVmaxとの関連性、および臨床病理学的因子との関係について検討した。2007年1月~2008年12月に当科にて術前にFDG-PET、外科切除術を施行された原発性非小細胞肺癌のうち、腺癌70例(BAC:12,non-BAC:58),扁平上皮癌24例,計94例を対象とした。抗GLUT-1ウサギポリクローナル抗体、シンプルステインMAX-PO (MULTI)、ヒストファインDAB基質キットを用いて免疫組織化学的染色を行い、Glut-1の発現率(%)をスコアリングした。Glut-1発現、およびSUVmax値はともに腺癌よりも扁平上皮癌にて高値を示した。GLUT-1発現とSUVmaxは、症例全体で有意な相関が認められ、組織型では腺癌,特にnon-BAC症例にて相関が認められたが、扁平上皮癌では有意な相関は認められなかった。Glut-1発現と臨床病理学的因子の検討では、病期、リンパ節転移の有無、脈管侵襲の有無において有意な相関が認められた。さらに腺癌において腫瘍の悪性度の指標とされるH-CTでのすりガラス陰影率、腫瘍消失率とGlut-1発現との間に有意な相関が認められた。非小細胞肺癌,特に腺癌において低酸素環境下に誘導されるGlut-1発現は腫瘍の増殖能、悪性度の強力な指標となることが示唆された。
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