2010 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肺腺癌の早期診断・治療標的の開発をめざした戦略的プロテオーム解析
Project/Area Number |
22591573
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西山 典利 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90438226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梯 アンナ 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60382222)
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Keywords | プロテオーム / 癌 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
肺癌は悪性腫瘍の中でも悪性度の高い腫瘍として知られ多くの先進諸国で癌死のなかで最も頻度の高い腫瘍である。診断方法や治療方法に進歩はあるものの、現在の集学的治療を含む治療方針では死亡率の劇的な低下は望みにくい状況である。死亡率の劇的な低下には早期発見及び個別化治療に代表される新しい治療戦略が必要であるとされ、そのためのバイオマーカーの開発が切望されている。今回、我々は肺癌の診療に有用なバイオマーカーを探索するため、ヒト肺腺癌組織を用いてプロテオーム解析による網羅的なタンパク質発現解析を行った。当院で手術を施行した原発性肺癌症例12例の癌部及び非癌部の凍結標本にiTRAQ試薬を用いて癌部及び非癌部組織を比較定量しつつ LC-MS/MS解析を行った。その結果、高頻度に、また非癌部と比較して癌部に高発現しているタンパク質がいくつか認められた。その中で、主な発現部位が細胞外腔であるタンパク質に注目し、その内の一つであるAnterior gradient 2 homolog(AGR2)が新規バイオマーカー候補として選出された。AGR2に特異的な抗体を用いて原発性肺腺癌組織268例に免疫染色を行ったところ94%で陽性となり、病理学的病期I期に限っても同様の割合で陽性であった。また、発現強度と既知の予後相関因子となる各種臨床病理的パラメーターとの相関を検討したがいずれも統計学的に有意な相関はなく、カプラン・マイヤー法を用いた単変量生存解析でAGR2の発現強度により有意に予後の差が認められた。これによりAGR2は独立した予後予測因子と考えられた。
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Research Products
(2 results)