2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における低酸素トレーサーFAZA集積領域の臨床腫瘍生物学的解析
Project/Area Number |
22591574
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野守 裕明 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90146613)
|
Keywords | FAZA / 腫瘍低酸素 |
Research Abstract |
本研究では肺癌切除例において、第二世代低酸素トレーサーFAZAの集積部位を切除標本における病理組織所見と対比することにより、その集積部位の腫瘍生物学的意義を問うことを目標とする。本年度は臨床研究として肺癌切除例23例を解析した。これらの症例では全例でFDG-PETとFAZA-PETが施行された後、切除が行われた。切除標本には手術中、切除直後の頭側にマークを付け、オリエンテーションを確保した後に固定を行った。標本切り出しの際にはそのマークを確認し、CT断面で標本を作成した。術式は肺葉切除14例、肺区域切除6例、肺全摘術3例であった。腫瘍径は1.8~6.0cm、平均3.7cm、組織型は扁平上皮癌9例、腺癌13例、腺扁平上皮癌1例であった。リンパ節転移は8例に見られた。FAZA投与による有害事象は1例もなかった。腫瘍以外の部分では肝臓に比較的高頻度に集積が見られた。これはFDGと同様な所見であった。その他の正常組織には明らかに集積する傾向は見られなかった。この意味でFAZAの臨床応用、臨床的評価は可能であると考えられた。FAZAの集積は様々な分布を示したが、腫瘍中心部よりは辺縁部に集積が見られる傾向が考えられた。腫瘍血流による補正を検討する必要がある可能性も考えられた。集積強度については対側肺を基準として解析中であるが、さらなる最適化が必要かもしれない。また大半の症例でFDGとは異なる範囲に集積が見られる点が特徴的であった。糖代謝を見ていると考えられるFDGとは全く異なる機序による腫瘍細胞あるいは腫瘍組織への選択的集積の可能性が考えられた。FAZAならびにFDG集積画像と組織切片を対比させながら、現在組織所見を解析中である。またリンパ節転移の有無における集積分布、集積強度も解析中である。
|