2010 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後脳血管攣縮における脳微小循環における組織学的・機能学的研究
Project/Area Number |
22591582
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀内 哲吉 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (40303466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一博 信州大学, 医学部, 教授 (00135154)
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Keywords | 脳微小循環 / くも膜下出血 / カリウム / マグネシウム / レンズ核線条体動脈 |
Research Abstract |
くも膜下出血後脳血管攣縮における脳微小循環の組織学的・機能学的研究を行い有効な治療方法を開発することを目的に、今年度は生理的状態におけるレンズ核線条体動脈(Lenticulostriate artery:以下LSA)の研究を行った。 (1)組織学的研究:今年度はコントロール群に対する実験を行った。SDラット(雄、12週齢)の脳を顕微鏡下に摘出固定し中大脳動脈より分枝するLSA(血管内径50~100マイクロメートル)を含む脳切片を作成しIntraparenchymal portionとExtraparenchymal portionにつき検討を行った。 (2)血管薬理学的研究:今年度は、生理的状態での細胞外カリウムとマグネシウム濃度変化による血管反応を検討した。以前我々は生理的条件下では軽度カリウム濃度の上昇(Stroke 2002;33:2692-2699)による著明な血管弛緩反応を報告してきたが、カリウム濃度の低下反応については不明であった。細胞外カリウム濃度を3.0mmol/Lから1.0mmol/Lに低下させると、2相性の血管反応(一過性の収縮反応後に弛緩反応)を認めた。この一過性収縮反応はNa-K-ATPase阻害剤とL-type Ca channel阻害剤にて有意に抑制された。一方、K channlの阻害剤存在下では、変化は認められなかった。よって細胞外カリウム濃度低下による一過性収縮反応はK channelは関与しておらず、Na-K-ATPaseの抑制によるものと思われた。細胞外マグネシウム濃度変化についても検討を行った。コントロールの細胞外マグネシウム濃度は1.5mmol/Lとして、上昇と低下により血管反応を解析した。濃度を0.5mmol/Lに低下させると有意に収縮反応を認め、3.0mmol/Lに上昇させると拡張反応を認めた。細胞外マグネシウムはカルシウムの拮抗作用があることが知られており、細胞内カルシウムの流入を阻害することによる血管反応と思われた。
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