2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞後遺症・神経変性疾患における骨髄ストローマ細胞を用いた脳保護作用の検討
Project/Area Number |
22591589
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
茂木 正樹 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20363236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40150338)
|
Keywords | 脳卒中 / 認知機能障害 / レニン・アンジオテンシン系 / 骨髄細胞 / 血液細胞 / 神経保護効果 / 脳血流改善効果 / 抗炎症効果 |
Research Abstract |
脳におけるレニン・アンジオテンシン系の果たす役割と脳卒中・認知機能障害に与える影響について検討した。 まず、骨髄細胞が脳卒中に及ぼす影響について血液細胞表面のアンジオテンシン受容体シグナルの影響について検討した。マウスに放射線を照射して別のマウスからの骨髄細胞を移植することでレスキューし骨髄キメラマウスを作成し、このマウスを使って脳梗塞を起こしたところ、アンジオテンシンII2型受容体(AT2)を欠損する骨髄細胞によるキメラマウスでは脳梗塞巣が拡大した。このマウスでは脳血流の低下と脳内炎症の増加が認められたことから、血液中のAT2は脳保護に働いていることが示唆された。 次にAT2が認知機能に実際に影響を与えるかについてはこれまで直接AT2受容体を刺激する薬剤がなかったので不明であったが、最近開発されたCompound 21を用いて認知機能の変化をモリスの水迷路で検討した。C21の投与により空間認知機能の向上が認められ、その効果に一酸化窒素の誘導作用のあるブラジキニンが関与し血流を増加させる作用が関係していることが、阻害薬を用いた実験から推察された。これらの検討は血液細胞のAT2受容体も脳保護作用に関与していること、またAT2受容体を直接活性化することにより血管を介して神経細胞を活性化することが証明された。 これらの実験の意義として、血球及び全身で発現しているAT2受容体による脳神経疾患への関与がさらに証明されたことが挙げられる。こうした結果について現在論文投稿中である。 現在研究目的に記載した骨髄ストローマ細胞におけるAT2受容体の働きについて検討を行っているが、これらの実験成果の重要性として、骨髄ストローマ細胞をARBで処理することはAT2受容体シグナルを活性化し神経保護的に働く可能性をより強く裏付けたことである。 今後は骨髄ストローマ細胞を中心にAT2受容体シグナルの脳保護作用についてさらに検討をする予定である。
|
Research Products
(2 results)