2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫に対するWT1ペプチドワクチン療法の抗腫瘍効果を増強する治療法の開発
Project/Area Number |
22591609
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坪井 昭博 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (10372608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 直哉 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90315945)
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Keywords | 腫瘍免疫療法 / WT1 / 悪性神経膠腫 / ペプチドワクチン / 化学療法併用 / ヘルパーペプチド |
Research Abstract |
腫瘍細胞で高発現しているWT1を標的とした癌特異的免疫療法の開発を行っている。 再発悪性神経膠腫を対象としてWT1ペプチド(WT1 CTLペプチド)を用いた癌免疫療法を行い、高い病勢コントロール率と一部の症例で著効(長期無再発生存)を示した。そこで適応拡大ならびに効果増強のため悪性神経膠腫に対し2つの新規臨床研究を実施している。1.初発悪性神経膠腫に対するテモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法と、2.再発悪性神経膠腫を対象としたWT1ヘルパーペプチドとWT1 CTLペプチド併用療法である。 研究成果: 1. 初発悪性神経膠腫に対するテモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法(第I相) 現在まで4例の患者が臨床試験に参加されており、それぞれ13ヶ月、10ヶ月、9ヶ月、8ヶ月の経過観察を行っている。いずれも有害事象を認めていない。効果についてはいずれの症例も無再発生存を維持している。悪性神経膠腫は進行が早くきわめて予後不良な疾患であるが、テモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法は有望な治療になりうることを示唆するデータと考える。今後さらに症例数を増やし有用性について明らかにする予定である。また第II相でテモゾロミド単独維持療法とのランダム試験を予定している。 2. 再発悪性神経膠腫を対象としたWT1ヘルパーペプチドとWT1 CTLペプチド併用療法(第I相) 現在まで2例の患者が臨床試験に参加されている。両症例とも有害事象を認めていない。1例は10ヶ月以上の無増悪生存を維持している。もう1例は治療開始前から腫瘍の増殖が極めて急速であったが、一時的ではあったが腫瘍の増殖を止める事ができた。その後腫瘍は再増大来たしたが、反応はあったと考えられた。まだ症例数が少ないので断定的な事は言えないが再発悪性膠腫に対し有望な治療法になることが期待される。さらに症例数を増やし有用性を明らかにしたい。
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