2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591612
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 文之 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60444692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 薫 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70201473)
杉山 一彦 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30243554)
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Keywords | glioma / EGFR / PEA-15 / erlotnib / diffuseion-weighterd imaging / apparent diffusion coefficient / bevacizumab / pseudo-resonse |
Research Abstract |
上皮成長因子レセプター(EGFR)のシグナル伝達経路に着目し、正常のastrocyteにおいて豊富に発現し、さらにEGFRのシグナル伝達経路の下流に位置するastrocytic phosphoproteinのPEA-15について検討した。PEA-15はアポトーシスを抑制する一方で、ERK1/2を細胞質に留めて増殖活性を抑制するが、PEA-15の発現をgliomaにおいて詳細に検討し、diffuse astrocytoma (WHO grade II)、anaplastic astrocytoma (WHO grade III)、glioblastoma (WHO grade IV)と悪性度が上昇するにつれて、PEA-15の発現が低下することを明らかにした。さらに、PEA-15が低下することが悪性gliomaにおいて予後不良因子であることを明らかにした。また、EGFRを標的とした分子標的薬のerlotinibについて検討し、erlotinibの獲得耐性株をEGFRが過剰発現したA-431細胞株にて作成し、EGFRが高発現しているにも関わらずerlotinibに対して自然耐性を示すBT-549、MDA-MB-468について、erlotinibの耐性原因となっているp-Aktがgemcitabineにより発現が低下することで、自然耐性、獲得耐性ともに克服可能であることを証明した。さらに、これらの自然耐性株、獲得耐性株に投与する際に、erlotinibをgemcitabine投与前に投与しても耐性は克服できず、erlotihibをgemcitabine投与後に投与することで耐性が克服できることを明らかにした。またglioma患者において、脳幹に発生したgliomaの予後予測因子を詳細に検討した。そして、single proton MR spectroscopyによるlactateの検出が脳幹gliomaの予後不良因子であることやconventional MR imagingが予後予測因子にならないことを明らかにした。また、gliomaの中で最も悪性度の高いglioblastomaにおいて、b値を4000に設定した拡散強調画像で拡散係数(apparent diffusion coefficient)を測定すると、glioblastomaにおけるADCはcentral nervous system malignant lymphomaのADCと比較して有意に高く、両者の鑑別が可能となり、治療方針の決定の上で極めて有用であることを明らかにした。さらに、b値1000と比較した場合に、より正確に細胞密度と相関することを明らかにし、高いb値での拡散強調画像の有用性を明確にした。また、通常のAPC値での検討で、glioblastomaの予後がADCと逆相関することや、髄芽腫が上衣腫と比較して有意に低いADCを示すこと、脳室内腫瘍の鑑別診断における有用性について報告した。さらに、glioblastomaに対して分子標的薬のbevacizumabを用いた時に生じるpseudo-responseについて、高いb値を用いた拡散強調画像がpseudo-responseとtrue-responseの鑑別に有用であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
EGFRの耐性克服の分子標的pAktを同定し、その耐性克服をgemcitabine併用により達成した。またEGFRシグナル伝達経路の下流の分子標的であるPEA-15のgliomaにおける予後との関わりを解明した。 他に、gliomaや悪性脳腫瘍の治療における評価方法の問題点である、術前鑑別診断や予後予測、治療効果判定について、proton MR spectroscopyや高いb値による拡散強調画像を用いた診断法を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
pAktの分子標的薬は現在臨床応用の可能性が限られているため、EGFRの耐性克服の研究をさらに進展させて、PAktの上流因子であるPTEN、下流因子でめるmTORとretinloblastoma (RB)について、その機能と関わりを明らかにする。基礎実験データを発展させてtranslational researchから臨床応用を目標とする。また、gliomaの最も悪性度の高いglioblastomaについて、temozolomide治療時のpseudo-progressionとbevacizumab治療時のpseudo-responseの診断方法を確立する研究を推進する。
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