2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳局所冷却装置を用いた術中脳機能マッピング法の確立
Project/Area Number |
22591613
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 正美 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90181320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 倫保 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80196873)
梶原 浩司 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90253161)
出口 誠 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10452640)
野村 貞宏 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20343296)
丸田 雄一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30543970)
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Keywords | 脳機能マッピング / 脳局所冷却 / 冷却プローブ / 言語機能 / 覚醒下手術 / 脳腫瘍 / けいれん / 脳波 |
Research Abstract |
脳腫瘍、難治性てんかんなどの疾患に対して切除手術を行う際、脳機能局在を詳細に評価(脳機能マッピング)することが、手術合併症を回避する上で重要である。実際には運動機能障害を早期に検出するため運動誘発電位(MEP)や覚醒下手術による脳機能(言語野)マッピングなどの手法が用いられている。しかしいずれの方法も電気刺激による痙攣発作の誘発、電気刺激強度の設定に起因する測定結果解析のばらつきといった問題点がある。一方近年我々の組織学的および神経生理学的検索により、脳表を0℃まで冷却しても、不可逆的変化をきたさないこと、また脳表を10℃以下に冷却することにより神経生理機能(運動)が抑制されることを確認した。以上の経緯から、我々は覚醒下手術において従来行なわれている電気刺激に代わり、より安全な脳局所冷却法を用い、脳機能マッピングを行なう手法の開発を目的に研究を行った。まず使用する冷却プローブの特許出願を行った(特願2010-71321)。さらに本研究を大学内倫理委員会および患者の承認を得た後に71才男性に実施した。ウエルニッケ野に主座をおく膠芽腫の覚醒下手術に際し、皮質電気刺激によりBroca野を確認した後、同部を1cm角のハンドヘルド型冷却装置を用い15℃、10℃、7.5℃に冷却し、言語機能を評価した。言語機能は物品呼称および数唱で評価した。冷却面の温度において15℃、10℃では言語機能に変化は見られなかったが、7.5℃の冷却により冷却から15秒後に言語停止を認め、反復冷却により再現性を確認した。術後冷却による有害事象は認めなかった。温度制御面では冷却開始時に数秒間の一過性温度上昇(2.5℃)が認められたが、その後は安定した温度制御が可能であった。我々の開発したハンドヘルド型冷却装置は覚醒下手術における脳機能マッピングとして臨床応用可能であることが確認された。
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