2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫におけるMGMTの関与しないテモゾロミド耐性機構の解明
Project/Area Number |
22591617
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
八代 一孝 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20264418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (90212646)
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00264416)
古川 龍彦 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (40219100)
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Keywords | glioblastoma / temozolomide / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
Glioblastoma(GBM)は、脳腫瘍の中で、最も悪性度が高く、治療困難な悪性腫瘍の一つである。近年、GBMに対し、新しい治療薬であるtemozolomide(TMZ)が認可され、一定の治療効果を挙げている。しかし、TMZに対し治療抵抗性を示す例も多く見られ、TMZに対する耐性機構の解明が重要となっている。 我々は、TMZを含む選択培地でU251細胞を培養し、限界希釈法で3つのU251/TMZR1,2,3の3つの耐性株を単離した。メチル化特異的PCRの結果、U251細胞、耐性細胞ともに、MGMTプロモーター領域もメチル化されており、また、MGMTの発現は見られなかった。このことより、今回作成した耐性株では、MGMTはTMZ耐性に関与しておらず、MGMT以外の因子のTMZ耐性への関与が考えられた。 薬物トランスポーターの関与を検討するため、高速液体クロマトグラフィーを用いてU251株とU251/TMZR2株の細胞内TMZ蓄積量を調べたところ、U251細胞:0.1036fmol/1000個、U251/TMZR2細胞:0.1410fmol/1000個(p=0.09>0.05)と差は見られず、トランスポーターのTMZ耐性への関与の可能性は低いと考えられた。 一方、Mismatch repair(MMR)の構成因子が欠如した細胞株がTMZに対し抵抗性を示す、という報告が見られる。MMR構成因子の発現を検討したところ、3つの耐性株に共通して、MLH1の発現が低下していることが分かった。また、TMZ処理を行っても、時間依存的にも、濃度依存的にも、MLH1の発現が誘導されないことが分かった。siRNAを用いて、U251株のMLH1をノックダウンすると、U251株のTMZに対する感受性が低下するため、MLH1発現低下が、TMZ耐性獲得に関与している可能性があると考えられた。 今後、耐性株でMLH1を強制発現させTMZに対する感受性が増すか、検討する。また、臨床サンプルを用いて、GBM初発例、TMZ投与後の再発例の間で、MLH1の発現に差があるか、免疫染色を用いて検討していく。さらに、MLH1発現低下の機序を明確にしてくことで、TMZに対する耐性獲得の機序が明らかにされていくものと考えている。
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Research Products
(2 results)