2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ幹細胞と樹状細胞の融合細胞を用いた活性型グリオーマワクチンの開発
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22591621
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤崎 安晴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00256322)
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Keywords | グリオーマ / 樹状細胞 / 癌幹細胞 / サイトカイン / T細胞 / 免疫治療 |
Research Abstract |
悪性グリオーマ患者の摘出腫瘍組織からCD133+グリオーマ幹細胞を誘導した。平成22・23年度の研究において、悪性神経膠腫患者12症例のCD133+グリオーマ幹細胞の濃縮および継代培養に成功した。血清添加培地やVEGF等の成長因子添加培地を用いて、CD133+グリオーマ幹細胞の分化誘導を試みたのち、誘導された細胞の形態を観察した。 CD133+グリオーマ幹細胞からは、血管内皮細胞への分化を思わせる管腔様形態を形成する細胞群や、腫瘍細胞への分化を思わせるシート状に増殖する細胞群への分化を認め、グリオーマ幹細胞としての多分化能が確認された。また、血管内皮様細胞や腫瘍様細胞に分化した細胞群をグリオーマ幹細胞用調節培養液で培養すると、再び球形細胞塊の形成が確認され、グリオーマ幹細胞としての自己複製能が確認された。次に、CD133+グリオーマ幹細胞やそこから分化した細胞からcDNAおよびタンパクを抽出し、real time PCRおよびwestern blotにてWT-1のmRNAおよびタンパクの発現を確認した。グリオーマ幹細胞cell lineとして知られるU87MGおよび当施設で確立した4症例のCD133+グリオーマ幹細胞における検討では、IVT-1の発現はすべてのグリオーマ幹細胞においてmRNA、タンパク共に低かった。次に、CD133+グリオーマ幹細胞と樹状細胞との融合細胞を作成し、FACSにより融合効率を解析した。融合効率は、20~50%であった。得られた融合細胞にIL-10-siRNAおよびdouble-stranded RNAを細胞内導入し、ELISAにて融合細胞のIFN-beta・IL-10およびIL-12の分泌能を解析した。解析の結果、低IL-10分泌性・高IL-12分泌性・高IFN-beta分泌性融合細胞の誘導が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定よりも多くのグリオーマ症例においてCD133+グリオーマ幹細胞を誘導することができた。グリオーマ幹細胞は増殖が極めて緩徐なことが知られており、そのことが本研究の律速段階になることが予想されていたが、誘導したCD133+グリオーマ幹細胞のうち、より実験に都合の良い増殖の速い細胞を選んで研究に用いることが出来たことが、効率よく研究を遂行できた要因と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずグリオーマ幹細胞と同一患者から誘導した樹状い細胞との融合細胞を作製し、in vitroにおいて融合細胞による自家リンハ球に対する抗原提示能、すなわちCTLやTh1反応の誘導能を確認する。同時に、real time PCRや western blotにてグリオーマ幹細胞の有する腫瘍特異抗原を同定し、テトラマーを用いて誘導されたCTLにおける抗原特異性を確認する。既知の腫瘍抗原に関する検討においては、問題なく研究を遂行できると思われるが、既知の腫瘍抗原の発現が認められない場合は、テトラマーを用いた検討において困難が予想される。新たな腫瘍抗原の発見に関しては、今後の検討課題と考える。
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Research Products
(1 results)