2010 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF(血管内皮増殖因子)中和抗体を用いた後縦靭帯骨化症治療の開発
Project/Area Number |
22591631
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
淺沼 由美子 三重大学, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (10361966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 裕一 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20242943)
淺沼 邦洋 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20378285)
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Keywords | 脊椎靱帯骨化症 / VEGF中和抗体 / twy/twyマウス |
Research Abstract |
後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症に見られる脊椎靭帯の骨化は内軟骨性骨化が主体とされ、靭帯内の間葉系細胞が軟骨細胞に分化し、この軟骨細胞が肥大化して新生血管の侵入や骨芽細胞の誘導を介し骨組織、骨髄組織へと置換される。血管内皮増殖因子(VEGF)は血管新生促進因子としてよく知られた成長因子で、内軟骨性骨化過程において重要な役割を担うことがわかっている。このVEGF発現を抑制することにより、脊椎靭帯骨化症における骨化過程に及ぼす影響について検討した。 twy/twyマウス(5週齢)を用い、VEGF中和抗体(1ug/ul,100ul)(V群)またはPBS(100ul)(P群)を一週に一度、3週間、腹腔内投与し、後縦靭帯骨化および黄色靭帯骨化過程をマイクロCTを用いて評価した。後頭骨から頚椎全長にわたって、スライスされたCT横断面を用い、各スライスにおける骨化部分の面積をLumina Vision(Mitani Co.Japan)により計測し、すべてのスライスにおける骨化面積の総和を算出。薬剤投与開始時の骨化面積(コントロール)に対する、投与開始後5週目と12週目の骨化面積の比を算出し、2群を比較した。その結果、薬剤投与後、5週目および12週目の骨化面積の総和はコントロールに比べ、P群(5週目:6.4±1.7倍、12週目;25.4±8.3)、V群(5週目;3.7±0.3倍、12週目;8.6±2.5倍)の増加であり、P群に比べV群で骨化の増大が抑制される傾向を認めた。薬剤投与12週目で、頚椎を採取し、組織学的評価を行ったところ、P群で多数のオステオカルシン陽性細胞を骨化前線に認めた。また骨化先端部ではP群でtype X collagenの発現を認めたのに対し、V群ではサフラニン陽性で、type X collagenの発現はほとんどみられなかった。 以上の結果より、VEGF中和抗体投与群では靭帯骨化部分において軟骨成分が多く残存しており、VEGF作用を抑制することにより、軟骨細胞の肥大化や骨芽細胞の誘導が阻害されている可能性が考えられた。
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