2012 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1-リン酸受容体を標的とした新しい脊髄損傷の治療法の開発
Project/Area Number |
22591641
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
木村 敦 自治医科大学, 医学部, 講師 (20364507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 司 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382843)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 生理活性脂質 / 血管透過性 / アストロサイト |
Research Abstract |
FTY720は生理活性脂質の一種であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)の類似物質であり、S1P特異的受容体を介して多彩な作用を発揮する。しかし脊髄損傷を含む中枢神経疾患への治療効果は十分に検討されていない。本研究の目的はFTY720の脊髄損傷に対する効果を、マウス脊椎脊髄損傷モデルを用いて詳細に検討することである。 まず定量的な胸髄圧挫損傷モデル(60kdyn)に対し、FTY720(3mg/kg)を連日経口投与すると、コントロールの生食投与群に比較し、損傷後7日以降に有意に良好な後肢の機能回復がみられた。組織学的にもFTY720治療群では残存ミエリンの面積有意に大きく、一方でGFAP陽性のアストログリア瘢痕は有意に減少していた。脊髄損傷部における炎症性サイトカインの発現は、FTY720治療群と対照群との間に有意差がなかった。損傷脊髄における炎症細胞浸潤をフローサイトメトリーで定量化すると、FTY720治療群では損傷後14日目におけるTリンパ球、およびBリンパ球の浸潤が有意に少なかった。血管透過性の検討においては、FTY720治療群が対照群に比較して有意に抑制されていた。 次いでFTY720の治療効果が,単に末梢血リンパ球減少による組織保護によるものかを判定する目的で、リンパ球欠損(SCID)マウスを用いた実験を行った。脊髄損傷を加えたSCIDマウスFTY720を投与すると、受傷後10日目以降に対照群に比較して有意に良好な機能回復が観察された。また野生型マウスの場合と同様に血管透過性の抑制とアストログリア瘢痕の減少がみられた。 以上の結果により、FTY720が脊髄損傷後の組織損傷を抑制し機能回復を促進すること、またその効果は単にリンパ球減少によるものではなく、血管透過性の抑制やアストログリア瘢痕の抑制といった免疫機能非依存的な作用が重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)