2010 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間板変性の原因解明と新たな治療法開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22591642
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80179952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60296639)
細金 直文 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10365306)
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Keywords | 運動器 / 脊椎 / 椎間板 / 退行変性 / 遺伝子 |
Research Abstract |
椎間板変性が端緒となり椎間板症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、変形性脊椎症や脊柱管狭窄症などさまざまな病態が生じるが、閉経後の女性においては椎間板変性を基盤とした腰椎変性すべり症の発症が多いことも知られており椎間板変性と女性ホルモンとの関連性が示唆されている。椎間板における主要な細胞外器質のひとつにII型コラーゲンが存在するが、閉経後はエストロゲンの欠乏によりこれら細胞外器質の代謝に何らかの影響を及ぼす可能性があることが考えられる。 我々は椎間板髄核細胞、線維輪細胞ともにエストロゲン受容体の発現があることを免疫染色で確認しており、またII型コラーゲン遺伝子の発現もラットを用いたrealtime PCR法で確認している。そこでエストロゲン受容体α(ERα)を欠損したマウスの椎体軟骨終板を組織学的に検討した結果、ERα欠損マウスでは軟骨細胞が減少しその軟骨終板の厚さの減少、細胞外器質の減少が見られた。さらにin vitroでII型コラーゲンの遺伝子発現に対するエストロゲンの作用を検討した結果、野生型ではエストロゲンもしくはTGF-β添加でII型コラーゲンの発現が増加したもののERα欠損マウスにおいてはその増加が見られなかった。またレポーターアッセイを用いてII型コラーゲン発現調節機構を詳細に検討した結果、dominant negative型ERαやp38 mitogen-activated protein kinase(p38 MAPK)の阻害剤でII型コラーゲンのプロモーター活性は抑制されることを見出した。更にglucocorticoid receptor-interacting protein-1(GRIP1)はERαおよび構成的活性化型MKK6の存在下でエストロゲン依存的にエストロゲン応答配列(ERE)の活性化を増強することが明らかになった。 これらの結果からERαはGRIP1と共同してEREを介したII型コラーゲン遺伝子の発現を増強し、またTGF-β/MKK6/p38MAPKのシグナル系とcrosstalkすることが示唆された。 来年度はこれらの結果を踏まえて更にin vivoでのエストロゲンの椎間板に対する作用を検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)