Research Abstract |
我々は,術前化学療法にinterleukin-18(IL-18)を用いた免疫療法を併用することで肺転移の抑制効果が増強されることをマウス骨肉腫モデルで証明した.このIL-18の併用療法の効果を向上させるためには,ヒト骨肉腫細胞の免疫細胞感受性を高めることが重要である. 本年度(平成22年度)では,ヒストン蛋白アセチル化阻害剤であるvalproic acid(VA)は,4種のヒト骨肉腫細胞株に作用し,1)ヒト骨肉腫細胞の増殖を抑制する,2) 細胞膜のMICA, MICBの発現を増加させるとともに遊離のMICA, MICB産生を抑制する.3) NK細胞の殺腫瘍細胞作用に対する骨肉腫細胞株の感受性を亢進させる.4) VAによるMICA, MICB産生の抑制は,それら遺伝子のプロモーター領域に結合するヒストン蛋白のアセチル化抑制によることを,明らかにした(Oncology Report,24;1621-1627,2010). 次に,骨肉腫細胞株の細胞膜Fas発現,遊離Fas産生,細胞膜MICA, MICB発現,遊離MICA, MICB産生及びFas-ligand感受性,NK細胞感受性に及ぼすVAとDNAメチル化阻害剤,hydralazineの併用の効果を検討した.その結果,VA単独に比べて,併用は,骨肉腫細胞株の細胞膜Fas発現,細胞膜MICA, MICB発現を更に増加させ,骨肉腫細胞株のFas-ligand感受性,NK細胞感受性を亢進させることを予備実験で確認している.
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