2011 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフォスフォネートによる破骨細胞の細胞死誘導および骨吸収抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
22591679
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 寧 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (50570016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 浩一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20583115)
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
増出 和浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70407948)
武富 修治 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70570018)
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Keywords | 骨・軟骨代謝学 |
Research Abstract |
当研究は以下の3つのサブテーマについて遂行している。 1)各世代の代表的なビスフォスフォネート製剤による破骨細胞骨吸収活性抑制経路の解明、2)各世代の代表的なビスフォスフォネート製剤による破骨細胞細胞死誘導経路の解明、3)各種Bc1-2family遺伝子欠損マウス由来の破骨細胞に対するビスフォスフォネート製剤投与効果の検証。 代表的なビスフォスフォネートとしてリセドロネートを選択し、1).2)を遂行した。その過程でリセドロネートによるアポトーシス誘導にBc1-2familyのうちBimが重要な役割を果たしている事がわかり、3)については主にBim遺伝子欠損破骨細胞およびBim遺伝子欠損マウスへのリセドロネート投与を行った。 結果、in vitroの系におけるシグナル解析により、リセドロネートがErk/Bim経路に作用して破骨細胞のアポトーシスを誘導し、Akt経路に作用して破骨細胞の骨吸収活性を阻害することが明らかとなった。またBimノックアウトマウスへのリセドロネート投与実験から、リセドロネートの作用機序が破骨細胞のアポトーシス誘導に依存しないことを明らかにした。アポトーシス誘導と骨吸収活性抑制が独立したシグナル経路によって制御されており、アポトーシス誘導効果の発現には骨吸収抑制効果の発現の100倍以上の濃度のリセドロネートが必要であることがわかった。生体内では破骨細胞は骨吸収に伴ってのみしかビスフォスフォネートを細胞内に取り込むことができないため、少量のリセドロネート取り込みによってsealing zone形成の障害が生じると、それ以上のリセドロネートを取り込むことができないと考えられた。 本研究によって得られた知見は、新たなビスフォスフォネート薬の開発や、新たな機序を持つ骨吸収抑制薬の創薬に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表的な一種類のビスフォスフォネート製剤においてのみであるが、計画通りに実験を遂行し成果発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
リセドロネート以外の他の窒素含有型ビスフォスフォネート製剤についても検討する。 Bim以外のBc1-2family遺伝子欠損破骨細胞や遺伝子欠損マウスへの投与効果を検討する。:Bc1-2familyの中でBH-3 only proteinと呼ばれる一連の蛋白群はミトコンドリア経路を介したアポトーシスを促進する働きを持つ。細胞により、またアポトーシス刺激特異的に働く蛋白が異なる。当研究室より、破骨細胞の生存シグナル除去刺激によるアポトーシスにおいてはBimが重要な役割を果たすことを既に報告している(Akiyama T et al.EMBO J, 22:6653-64,2003)。Bim遺伝子欠損破骨細胞は生存が延長するが、活性は落ち骨吸収が低下する。破骨細胞特異的Bc1-xL遺伝子欠損マウスの解析では、アポトーシスの促進と骨吸収の亢進が確認されている(Iwasawa M,et al.J Clin Invest,119:3149-59,2009)。こうした一連の研究からBc1-2ファミリーが細胞死のみならず細胞の運動やエネルギー産生など、様々な生体機能に関与する可能性が明らかとなった。1)、2)により各経路の解明が済んだところで、各種Bc1-2family遺伝子欠損破骨細胞に対するビスフォスフォネート投与の効果を観察することで、破骨細胞内のシグナル伝達の統合的理解と、Bc1-2familyによる破骨細胞活性制御のメカニズムが明らかにされると考える。具体的には野生型マウス、Bim、Pumaの各ノックアウトマウス、Bim/Pumaダブルノックアウトマウス、Bc1-xL コンディショナルノックアウトマウスなどから骨髄細胞を採取して既述の共存培養で成熟破骨細胞を得て、ビスフォスフォネートを添加、破骨細胞の生存能、骨吸収能、細胞形態変化を観察する。
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Research Products
(1 results)