2010 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症の治療を目指す間葉系幹細胞エピジェネティクスに関する分子生物学的解明
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22591681
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江面 陽一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50333456)
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Keywords | 遺伝子 / 再生医学 / シトシン・メチル化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト間葉系幹細胞(MSC)の軟骨細胞への分化過程でシトシン・メチル化の変動を示す領域について、メチル化変動の細胞系譜特異性を検証し、個々の領域における生物学的な意義について解明を進めることで、再生医療への利用がすでに実現化レベルにある本細胞の有効な選択的採取法と分化制御法開発のための基盤を形成することである。本年度の計画として、我々がこれまでに同定してきたSDF1およびNKX3.2遺伝子座のシトシン・メチル化について解析を進めた。SDF1遺伝子のメチル化変動領域については、滑膜由来MSCを用いてその変動領域が上流約1kbに限られることを明らかにした。同細胞の骨芽細胞分化あるいは脂肪細胞分化に際しては、明らかなメチル化の変動を確認できず、メチル化変動は軟骨細胞への分化時の特異的現象と考えられた。NKX3.2遺伝子座下流のメチル化変動域については、細胞間の再現性に乏しいことが判明し、骨芽細胞および脂肪細胞への分化誘導の解析は保留した。SDF1遺伝子上流のメチル化変動領域の遺伝子発現に与える影響の検討として、想定されるサイレンサー領域としての機能を全長2kbを最長とするSDF1遺伝子プロモーター領域を組み込んだルシレラーゼ・レポーターコンストラクトを5種類作成して、ルシフェラーゼアッセイをおこなった。当該領域を含むコンストラクトの転写活性は著しく低下しており、全長2kbまで加えるまで900bpのコンストラクトでみられた転写活性は回復しなかった。この結果はメチル化変動領域が、少なくとも未分化なMSCにおいてはサイレンサー領域として働き、シトシン・メチル化によってそのサイレンサー機能が打ち消されるという仮説を支持した。
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