2010 Fiscal Year Annual Research Report
II型コラケン異常による骨系統疾患をモデルとした変形性関節症の病態解析
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22591683
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松井 好人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (80335348)
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Keywords | 変形性関節症 / コラーゲン / 骨系統疾患 |
Research Abstract |
早期発症の変形性関節症を主要症状とする骨系統疾患であるCzech dysplasiaは、II型コラーゲンのArg275Cys変異を原因とする単一遺伝子病である。研究代表者は、変形性関節症の病態を、その中心病変分子であるII型コラーゲンとマトリックスの超分子構造の観点から明らかにするため、II型コラーゲンのArg275Cys変異を導入したトランスジェニックマウスの作製に着手した。まず、マウスII型コラーゲンのプロモーターとエンハンサーを有する発現ベクターを用意した。このベクターに任意の蛋白質をコードする遺伝子情報を組み込むことにより、II型コラーゲンの発現する領域(主として軟骨組織)に、当該蛋白質を過剰発現させることが可能となる。次に、マウスII型コラーゲンの全長をコードする遺伝子情報を用意した。275番目のアルギニンをシステインに変異させるように遺伝子情報を変化させる操作を加えた。また、トランスジェニックマウスを解析する際に、内在性II型コラーゲン由来のmRNAと、過剰発現させたII型コラーゲン由来のmRNAを識別するために、遺伝子情報のコードするアミノ酸を変化させぬように、制限酵素の認識配列を変異させた。そのように準備した変異II型コラーゲンの遺伝子情報を、マウスII型コラーゲンのプロモーターとエンハシサーを有する発現ベクターに組み込むために、遺伝子情報の末端に制限酵素の認識部位を付加することに成功した。得られた遺伝子情報の全長に亘ってシークエンスを行い、予期せぬ人工的な変異が導入されていないことが確認できた。このトランスジェニックマウスを解析することにより、関節軟骨の病理は、コラーゲンフィブリルの構造と機能の変化として生化学的に明らかにされる。また、本マウスは変形性関節症を自然発症すると予想されることから、薬剤の効果判定をはじめとした治療方法の開発に向けて有用であると考えられる。
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Research Products
(3 results)