2011 Fiscal Year Annual Research Report
II型コラーゲン異常による骨系統疾患をモデルとした変形性関節症の病態解析
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22591683
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松井 好人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (80335348)
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Keywords | 変形性関節症 / コラーゲン / 骨系統疾患 / 動物モデル |
Research Abstract |
早期発症の変形性関節症を主要症状とする骨系統疾患であるCzech dysplasiaは、II型コラーゲンのArg275Cys変異を原因とする単一遺伝子病である。研究代表者は変形性関節症の病態をその中心病変分子であるII型コラーゲンとマトリックスの超分子構造の観点から明らかにするため、II型コラーゲンのArg275Cys変異を導入したトランスジェニックマウスを作製した。(1)トランスジェニックマウスの作成:Arg275Cys変異(c.823C>T)を導入したマウスII型コラーゲン遺伝子を、マウスII型コラーゲン遺伝子のプロモーターとエンハンサーを有するベクター(pKN185)に挿入して、トランスジェニックマウスのコンストラクトを完成させた。ベクターDNAを量産・精製して必要部分を切り出し、C57BL/6系統のマウス受精卵にマイクロインジェクションした。状態の良好な受精卵を偽妊娠マウスの生殖器に移植して出産まで飼育し、FO産仔4個体が得られた。現在、各FO個体を野生型C57BL/6系統のマウスと交配して得られたFl産仔から組織を採取し、DNAを抽出して、PCR法により変異遺伝子が染色体に取り込まれた個体を選別している。サザンプロット法により変異遺伝子のコピー数を調べ、複数の系統を樹立する予定である。(2)生化学的解析:哺乳類細胞においてマウスII型コラーゲン遺伝子を過剰発現させるため、CMVプロモーターの発現ベクターに野生型マウスII型コラーゲン遺伝子を組み込んだ。これに上記のArg275Cys変異(c.823C>T)を導入した変異型マウスII型コラーゲン遺伝子の発現ベクターも作成した。これらを量産・精製し、リポフェクション法により、それぞれの発現ベクターをマウス間葉系多能性細胞株10T1/2に導入して細胞および細胞外マトリックスを回収した。現在、ペプシン消化あるいはCNBr消化により、トランスジェニックマウスから得られる軟骨組織を解析する際のスタンダードを準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスジェニックマウスの作成が比較的順調に進み、成体となったファウンダーマウス4個体を交配して順調に子孫を増やしているところであるが、1年以上の長期にわたる変形性関節症としての表現型を経過観察するには、やや遅れていると自己評価している。生化学的解析の準備は順調に進んでいることから、変形性関節症の初期兆候を丁寧に観察すること、ならびにマウス胎仔を軟骨組織の生化学的解析に供することで、本研究の目的に見合う一定の成果が研究期間内に見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立されたトランスジェニックマウス各系統の表現型をX線および組織学的、生化学的に解析して、重症度の異なる変形性関節症モデルマウスとして確立する。軟骨コラーゲンの解析は、ペプシン消化産物に対しては塩析を行い、0.8M分画(II型コラーゲン)を精製する。これを還元または非還元の状態でSDS-PAGEに展開し、抗II型コラーゲン抗体を用いたウェスタンブロットにて同定する。野生型と変異型を比較することにより、変異によって新たに導入されるCys残基が及ぼすコラーゲンフィブリルの形成やクロスリンクへの影響を解析する。CNBr消化産物に対しては、Arg275(変異アレルではCys)を含むCB12を標的としてペプチドマッピングを行う。
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Research Products
(3 results)