2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591687
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大月 孝志 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10534802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 圭一郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80284058)
廣畑 聡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90332791)
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Keywords | 医療・福祉 / ヒアルロン酸 / アグリカナーゼ / 遺伝子 / 変形性関節症 / 細胞外マトリックス / ADAMTS / メカニカルストレス |
Research Abstract |
我々はヒアルロン酸(HA)による変形性関節炎(OA)早期病態でのアグリカナーゼ遺伝子の発現抑制を来すメカニズムを解明するとともに変形性関節炎のアップストリーム治療薬としての可能性の追求を目的とし、以下の研究を実施した。 1.HAの分子量と炎症性サイトカインによるアグリカナーゼ発現抑制効果との関連の検討 変形性関節炎の初期には関節軟骨を形成する細胞外マトリックスの分解が炎症性サイトカインの刺激により発現誘導されたアグリカナーゼにより生じていると考えられる。HAには軟骨保護作用、炎症抑制作用が確認されているが軟骨細胞でのアグリカナーゼ(ADAMTSファミリー)発現抑制については充分に解析が進んでいない。 そこで分子量の異なるHAを軟骨肉腫細胞株(OUMS-27)炎症性サイトカイン(IL-1beta、TNF-alpha)刺激試験系に添加しADAMTSファミリーmRNAの発現抑制をreal-time RT-PCR法により定量的に評価した。その結果同一濃度ではヒアルロン酸の分子量が300、800、2700kDaと大きくなるほどADAMTS4、9のmRNA発現量が減少してくることを確認した。特にADAMTSgmRNA発現抑制にはヒアルロン酸の前処理が有効であることを確認した。ヒアルロン酸添加濃度を検討した所、1mg/mlで抑制効果が確認された。ヒト膝関節内ヒアルロン酸濃度は2-5mg/ml程度であることを考慮すれば生理的濃度域での投与が有効であることの傍証と考えられる。 2.ラットOAモデルへのヒアルロン酸投与による関節破壊抑制効果の検討 ラット膝関節の前十字靱帯および内側側副靭帯を切除後に内側半月板を除去し、ラットOAモデルを作製した。比較として反対側肢には膝蓋靭帯切開までの処置を行い、sham手術例を作製した。ラットOAモデルの膝関節腔内にHAを投与し、関節軟骨保護効果をマンキンスコア測定により比較した。その結果ヒアルロン酸の分子量が300、800、2700kDaと大きくなるほど関節軟骨保護効果が大きいことを確認した。 3-炎症性サイトカイン刺激下でのメカニカルストレスのアグリカナーゼ発現への影響の解析炎症性サイトカイン(IL_1beta、TNF-alpha)刺激条件下でメカニカルストレスを加えるとADAMTS4、5、MMP-13mRNA発現が有意に減少することを確認した。この作用には阻害剤を用いた解析からメカノリセプターが関与すること、細胞内シグナル因子としてカルシウムの関与があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究業績に記載した3項目を3年間で解析することを当初の予定としていた。開始2二年間で3項目に関してほぼ必須とされるデータを取得している。
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Strategy for Future Research Activity |
軟骨細胞に対するメカニカルストレスの影響をカスケードの下流ではなく、メカノリセプターとそのシグナル分子の段階で行う。また同様の系へのヒアルロン酸の影響を明らかにしていきたい。より初期病変へのアップストリーム治療法の確立に役立てる為に分子レベルでのさらに網羅的な解析を行いOAの病変とヒアルロン酸、メカニカルストレスの関係を明らかにしていきたい。
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Research Products
(4 results)