2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591696
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
横山 成俊 独立行政法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 研究員 (90511080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺原 弘嗣 独立行政法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 客員研究部長 (70294460)
五十嵐 ありさ 独立行政法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 研究員 (60572998)
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Keywords | 骨・軟骨代謝 / 転写因子 / 四肢 / 肢芽 |
Research Abstract |
多指症を含む四肢の形成疾患は、ヒトでは1000人に一人といった高頻度で生じ、ヒトの先天性疾患としては最も報告例の多い疾患である。現在までに多指症として221の症候群が報告されているが、原因遺伝子として記載されているのはわずかに15遺伝子のみであり、さらなる研究の進展が望まれている。 我々はヒト多指症の原因遺伝子の候補としてIrx3に注目し、マウス胚を用いて解析を行った。Irx3ノックアウトマウスを作製し、その表現型を調べたところ、後肢特異的に多指を生じることが明らかになった。ここで観察された多肢形成の様式には、親指の前側に第一指様の多肢を生じるパターンと第二指様の多肢を生じるパターンの2つが同程度の割合で混在していた。 次にこれまでに前後軸形成に関わることが知られている遺伝子についてqRT-PCR法を用いて解析を行ったところ、Irx3ノックアウトマウスにおいては、Alx4の発現量が半分程度に減少しており、またFGF4、Gremlin、dHand、Ptch1、Hoxd13、Hoxd10などの遺伝子について発現量が増加していることを明らかにした。Alx4は軸前多肢変異マウス(Strong's luxoid)の原因遺伝子であり、Alx4ヘテロマウスでは、後肢特異的に軸前多肢(第二指様)を生じることが知られている。 In situハイブリダイゼーション法を用いてこれらの遺伝子の発現領域の変化を調べたところ、Shhについては、一部の肢芽において、前側領域に異所的に発現していることを確認した。またFGF4、Gremlinについてもその発現領域が前側まで拡大していることが確認できた。 以上の研究結果を総合すると、新規転写因子Irx3は四肢前後軸形成に必須の分子ネットワークの一部を構成しており、またヒトの多指症の原因遺伝子の一つとなっている可能性を明らかにした。
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Research Products
(4 results)