2012 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔による意識消失メカニズムの新たなる展開-視床下部MCH産生細胞の役割-
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22591718
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
福田 悟 帝京大学, 医学部, 教授 (30116751)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メラニン凝集ホルモン / Neuropeptide EI / 脳室内投与 / 海馬 / 記憶 / REM睡眠 / アセチルコリン / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
MCHはMCH神経細胞内でprepro-MCHから作られるが、その構造の中にneuropeptide-glutamic acid-isoleucine (NEI)が存在する。NEIはprepro-MCHから細胞内で切断され、MCHと同じように神経末端から放出される。従来の報告では、NEIはMCHの作用に拮抗すると言われているが、睡眠・覚醒に対してどのように影響するかは不明である。ところで、ヒスタミン(HA)は覚醒伝達物質の中で麻酔からの覚醒に重要な働きをしていることが報告されている。大脳皮質からのHAの放出増加は覚醒を、減少は睡眠を表す。そこで、覚醒の指標としての大脳皮質からのHAの放出をMCHとNEIを脳室内投与して検討した。対照群として生理食塩水を脳室内投与した。その結果、対照群(n=5)は大脳皮質からのHA放出を減少した。これは、実験を昼間に施行したため、夜間活動する齧歯類であるラットは寝ていることが多かったためである。また、MCH脳室内投与(n=6)は大脳皮質からのHAの放出に有意に影響しなかった。一方、NEI脳室内投与(n=7)は大脳皮質からのHA放出減少を有意に抑制した。(P<0.05:Dunnett法)MCHがHAの放出に影響しなかったことは、MCHが覚醒の維持に影響しないことを意味する。一方、NEIが大脳皮質からのHAの放出減少を抑制したことは、NEIに大脳皮質覚醒作用があることを示唆する。以上の結果から、MCHの動態を考慮するにあたっては、MCHのみならずそれに伴って神経末端から放出されるNEIも考慮する必要があることがわかった。前年度のMCHの記憶に及ぼす作用を考慮すると、近年報告されている麻酔薬による記憶障害にMCHのみならずNEIがどのように影響するかは今後の重要な課題である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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