2010 Fiscal Year Annual Research Report
TNF-αとスーパーオキサイドからみた、ウリナスタチンによる心筋保護効果の解明
Project/Area Number |
22591724
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小口 健史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (60201399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 忠彦 山梨大学, 医学部・附属病院, 准教授 (90293448)
松川 隆 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80209519)
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Keywords | 心筋虚血 / ウリナスタチン / TNF-α / 心筋保護 / 摘出心臓 / 虚血再灌流不整脈 |
Research Abstract |
心臓における虚血-再灌流障害にはTNF-αが関与しているとされる。一方、既に臨床使用されている尿中トリプシン阻害薬であるウリナスタチンにはTNF-α産生抑制作用があり、抗TNF-α作用により肝臓・腎臓・肺における虚血-再灌流障害を軽減するとされている。そこで、本研究においては、ウリナスタチンの心筋における虚血-再灌流に及ぼす効果と機序を解明することを目的とした。本年度は、心筋虚血再灌流障害に対するウリナスタチンの保護効果について、心機能改、虚血再灌流不整脈、TNF-α産生の観点からラット摘出心臓灌流標本を用いて比較検討した。その結果、ウリナスタチンは虚血前の好気的灌流において心収縮能・心拍数・酸素需給バランスに影響を及ぼさなかった。虚血再灌流時の心収縮能と心拍数はウリナスタチン群で有意に高かった。再灌流不整脈(心室細動・心室頻拍)の持続時間はウリナスタチン群で有意に短かった。肺動脈から流出する灌流(coronary effluent)を経時的に採取して、TNF-α濃度をRat-ELISA Kitを用いて測定したが、再灌流10分後においてはTNF-α排泄速度に有意差は認めなかった。ラット摘出心臓において、ウリナスタチンは心筋虚血再灌流障害に対して、心機能と虚血再灌流不整脈の面から保護効果を有することが判明した。ウリナスタチンは臨床使用が容易な薬剤であり、今後心筋虚血に対する有用性を検証する価値があると思われる。作用機序としてTNF-αの関与を未だ証明できていないが、今後は灌流終了時に瞬間凍結した心筋組織をホモジナイズ処理後、心筋内TNF-α量を測定して検討に加える予定である。
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