2011 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症によって惹起される細胞性免疫能の抑制状態の解析と治療
Project/Area Number |
22591728
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大田 典之 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50252672)
|
Keywords | 敗血症 / 腹膜炎 / 鎮静薬 / 樹状細胞 / 腫瘍 / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
(1)敗血症によって惹起される免疫抑制状態のモデルの作成と解析 腹膜炎誘発性敗血症による実験的敗血症をマウスに導入し粘膜免疫応答の動態解析を行った。本年度はこれに引き続き生体防御という観点でこれを明らかにするために、腫瘍の排除モデルを確立しその解析系の確立に務めた。粘膜アジュバントとモデル抗原のOVAを経粘膜的に投与して免疫するという粘膜免疫法の実験モデルをもちい、成立してくる免疫応答をT細胞免疫応答についてはMHCテトラマーを用いた解析によりとB細胞免疫応答についてはOVA特異的免疫グロブリンの検出の二側面から解析を行った。粘膜免疫応答は、敗血症によりT細胞免疫応答と抗体産生の両面で低下していた。この個体レベルでの免疫系の生体防御への影響を解析するために、OVAを腫瘍抗原として発現する腫瘍EG7に対する排除能を評価した。通常マウスではOVAに対する免疫が成立してEG7は排除されるが、敗血症マウスではOVAに対する免疫の成立が弱いためEG7は増大した (2)ミダゾラムの樹状細胞に対する抑制作用が個体レベルでの免疫応答に与える影響の解析 前年度は樹状細胞によって引き起こされる免疫反応は、臨床試用薬剤であるミダゾラムによって制御できる可能性を示した。本年度はこれに引き続き生体防御という観点で、樹状細胞機能のミダゾラムによる制御の可能性を追求するために、上に確立した腫瘍の排除モデルを用いた解析法の確立に務めた。OVAを腫瘍抗原としてもつ腫瘍細胞セルラインEG7を用い、これをマウスに移植すると腫瘍は増大しつづける。マウスにOVAを取り込ませた樹状細胞によって免疫することで、EG7腫瘍はマウスから排除されるという系を作成した。更にこの系の解析系としてOVAに対する抗原特異的応答の検出系を確立した。OVA特異的ELISPOT法によるIFN-gamma産生T細胞の検出系、OVA特異的テトラマーによるOVA特異的なCD8特異的T細胞の検出系、OVA特異的なIgM,IgGの検出系め3種類を確立した。現在はこれらの検出系を用いて腫瘍細胞に対する樹状細胞による免疫の結果を解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の実行のためのモデルを感染症モデルから、腫瘍免疫モデルに変更をおこなったが、当初予定している細胞性免疫能を中心とした解析はモデルを変えても順調に進行しており今後もこの方向性で研究を継続する予定である。本年度は樹状細胞によって免疫応答を修飾する試みを進めていく
|
Strategy for Future Research Activity |
当初は敗血症後にリステリア肺炎を誘導するというモデルを用いた解析を計画していた。しかし敗血症後のリステリア感染は重症化が著しく免疫系の解析をするのには困難な程死亡率が高く、病態解析を行うのは困難であった。そこで生体防御機能の解析には敗血症から回復したマウスにたいして、モデル抗原を腫瘍抗原として発現する腫瘍を接種して腫瘍免疫を解析するという実験系を用いた実験に変更した。
|
Research Products
(5 results)